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東京メトロが進める「バリアフリー化」の現在地。盲学校生徒から提言も

ホームドアと点字ブロック以外に必要なものとは

 講義終了後、盲学校生徒を代表して、鈴木龍弥(たつみ)君(全盲)、高草木(たかくさき)のぞみさん(弱視)、そして、東京メトロ広報部 社会活動推進担当の増田英子課長がメディアの囲み取材に応じた。

 私が「ホームドアと点字ブロック以外に必要なもの」をうかがうと、鈴木君は盲人用の誘導チャイム、鳥の鳴き声(相模鉄道二俣川駅などにあるそうだ)の全国的普及を希望した。

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盲人用の誘導チャイム

  私が把握している限り、盲人用の誘導チャイムは、JR北海道の駅で導入が進められており、「ミーソードー、ミーソーラー」が1日中鳴り響いている。また、関東地方では、相模鉄道羽沢横浜国大駅(2019年11月30日開業)に導入される。

 高草木さんは「階段が濃い色、灰色だと見にくく、怖い」という。階段をできるだけ見やすい色にしてほしいことや、識別マークのさらなる普及、そして、車内のドア付近にちょっとした印をつけることで、列車とホームのあいだからの転落がなくなることを希望した。

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階段識別マーク

 階段識別マークは、都市部の駅を中心に導入されているものの、全国的な普及に至っていない印象を持つ。特にエスカレーター、エレベーターが整備されていない駅、困難な駅については、階段識別マークの導入を進めたほうがいいのではないだろうか。

 増田課長に「今後、身障者のために取り組んでいること」をお伺いしたところ、ホームドアの全駅設置を2025年度までに完了させることのほか、「視覚障害者の利用が多い駅などを見極めて、警備員の増配置を検討する」と回答。

 参加した生徒は、4月から新しい道を歩む。今回の経験によって、鉄道に対する見方が変わったことだろう。大きな財産となるはずだ。鉄道のさらなる発展のため、すべての人々が安心して乗っていただけるようにするためにも、さらなる提言を願う。

東京メトロが実行している取り組み

 東京メトロでは、すべての乗客に安心して利用していただくよう、さまざまな取り組みが行なわれている。最後にまとめて紹介しておこう。

■全線全駅のホームドア設置
 銀座線渋谷以外の全駅、丸ノ内線、有楽町線、南北線、副都心線で、ホームドアの設置を完了。東西線、千代田線、半蔵門線は順次設置が進められている。

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日比谷線の車両は、18メートル3・5ドア車(左側)から、20メートル4ドア車(右側)への置き換えが急速に進められている

 なお、日比谷線は車両更新完了後に設置される。この工事は2025年度までに完了の予定だ。

■エレベーターによる1ルート整備
「1ルート」というのは、ホームから駅の出入口まで、エレベーターや階段昇降機、スロープなどを整備することで、段差を解消するもの。体の不自由な方でも気軽に利用できる。

 東京メトロでは、全駅整備完了後、今度は「エレベーターのみで、ホームから駅の出入口まで行ける1ルート」の整備が進められている。参考までに、2018年12月時点で、約88%(179駅中157駅)で整備を終えている。

■多機能トイレ

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千代田線北綾瀬駅のホーム上に新設された多機能トイレ

 2001年から多機能トイレの設置を進めており、銀座線渋谷駅、日比谷線広尾駅を除く、全駅で整備が完了。上記の2駅は2019年度中に整備される。

■車両のバリアフリー化

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東京メトロでは、2015年度の新製車、リニューアル車から各車両にフリースペースを設置

 新型車両やリニューアル車両に、手すりや非常通話機などが設置されたフリースペースの導入が進められている。

 このほか、警備員の増員、ハンズフリー型インカムの導入、全駅社員によるサービス介助士の資格取得、大学生によるボランティア活動(2017年6月から、飯田橋駅構内において、法政大学生が活動)が行なわれている。

<取材・文/岸田法眼 取材協力/東京地下鉄>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)がある

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