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今年、海でのトラブルが多発するかも…『海猿』出演のプロライフセーバーに聞く

学び

 新型コロナウイルスの影響によって、海水浴場の中止や不開設が相次いだ2020年。本格的な夏が到来したものの、本来ならば多くの人手で賑わうはずの海辺には、閑散とした光景が広がっている。

海岸

画像はイメージです

 だが、海水浴場不開設の海岸であっても、海に入ること自体は禁止されていない。そのため、人の少ない海岸では、水難事故をはじめとするトラブルが起こる危険性についても指摘されている。

 今回話を聞いたのは、日本人で海外のプロツアーと初めて契約を結ぶなど、ライフセーバーの第一人者として活躍してきた飯沼誠司さん。飯沼さんは現在、「館山サーフクラブ」の代表として、千葉県館山市と南房総市でライフセーバーとして活動している。

統一された条例がないのが問題

「僕が活動している館山市も、今年は感染拡大を防ぐため海水浴場が不開設になるんです。でも『閉鎖』ではないので、もし海水浴に来た人がいたとしても、「自粛」はお願いするものの県や国は「禁止」することができません。

 例年は海水浴場として使われていたエリアに、水上バイクとかウインドサーフィンが海水浴場エリア内に侵入してくるなど、遊泳区域内での暴走行為は何件かありました。海水浴場が開設されない今年に限って危険な行為が減り、安全に泳げるということはないと思います」

 続けて、海を訪れる海水浴客のマナーだけではなく、法律上の盲点についても指摘している。

海水浴条例が適用されるのは、海水浴場が開かれているときに限られるんです。つまり今年の夏に関しては、浜辺での飲酒やBBQなどの迷惑行為を別の法令などを使って取り締る必要があるんです」

事故を未然に防ぐことが大事

飯沼誠司さん

飯沼誠司さん

「そもそも条例は、市町村とかがそれぞれの権限で出しています。本来だったら、近隣地域の海のルールはある程度統一されていたほうが望ましいのですが、禁止事項などはまちまちなんです。

 K市などは、代わりに『マナー条例』などで適用させようとしていますが、各市の対応はさまざま。ある程度の統一された条例がないのは、問題だなと。海外の方や初めての方が来てもどのビーチもある程度のルール統一を見える化したほうが良いと思っています。」

 前代未聞の海水浴場の不開設が相次いだことで、自治体によっては予算が下りなくなり、「ライフセーバーを配置しない」海岸も多くあったと飯沼さんは言う。

「ありがたいことに館山市と南房総市は、今年もライフセーバーを配置してくれることになりましたが、なかには、『事故が起こらなければ何でもいい』みたいな感じで、警備員しか配置していない海岸もある。一番大事なのは、事故を未然に防ぐこと。この機会に、もっと事故を防ぐための仕組みづくりや整備を進めていってほしいです」

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