いまだにFAXが重宝される業界の謎。意外な利点も… #全宅ツイ
“あのアプリ”が状況を変える?
根強いFAX文化も、スマホとLINEの普及で状況が変わるかもしれないと、お鯛氏は期待を寄せます。
「今まで『パソコンなんて難しい』『メールなんて読まん』と言っていたお爺ちゃん職人さんも、孫や家族、お店のオネーチャンとのコミュニケーションのため、必死にスマホLINEの操作を覚える人が出てきています」
LINEの強みは、メールとFAXの良いとこ取りにあるとお鯛さんは言います。
「LINEの良さは、メールのように時間や相手の作業のタイミングを気にせず送れる点と、持ち歩く携帯に通知が表示される、FAXのリマインダを兼ねている点にあります。さらに『既読』がつくことで相手が読んだか確認できるのは、LINEならではの強みです」
このためLINEがコミュニケーションツールのスタンダードになり得るのではと、お鯛氏は予想します。
いつも厳しい上司が2~3時間だけ優しくなる
あくの氏さんも、世代交代でいずれFAXはその地位を下げる見解です。
「世代交代が進み、いずれFAXはマイナーなデバイスになっていくと思います。20年後には状況がはっきり見える気もします。それでも4~5番手の特異な位置に収まり続けるかもしれませんが。
私が若手時代、FAXから『ピロピロ~~』と紙が出力されると、『おい! あくの、買付け届いとるぞ!』と上司が見つけるのが、小さな誉れでした。いつも厳しい上司が買い付けが届くと2~3時間だけ優しくなる。そんな経験をしてるので、今でもFAXで買付けが届くとテンションが上がるのです」
今や産業遺産としてスミソニアン博物館で展示されているFAX。日本の不動産業界で現役なのは、取引相手への思いやりからなのかもしれません。
<取材・文/栗林篤>
【ケビン松永 @Canary_kun】
大手SIerでSEをやっていたが40歳を機に独立。現在はフリーランスのITコンサルとして情報システム開発に従事。ブログ「ストレスフリーに生きる技術」を運営。座右の銘は「悪ノリして怪我」
【あくのふどうさん @yellowsheep】
不動産ブローカーです。以前は新興企業で、買収企業から不動産を剥ぎ取る山賊業に従事していました。会社消滅後は、曖昧な雑居ビルの一室で、金融機関担当者の靴をせっせと磨いて借りた大切なお金で、隣地のおばあちゃんのほっぺを叩いて敷地を広げる賤業に従事しています
【お鯛 @otto_morgen】
自称建築家の先生の元で働いていた1級建築士。建築基準法の行間を押し広げる事を生業とし、今日も建築基準法の一歩外側にある幻の建築を設計することを目指してます