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低温調理機がヒントになった焼かない焼肉屋「29ON」。業界に先駆けてサブスクを取り入れ繁盛したワケ

ビジネス

料理に原価の50%をかけ、コスパの高いお店を目指す

しかし、オープン当初は「2ヶ月先まで予約できない」ことが原因で、クレームも多かったとか。

せっかく会員になっても29ONに行けない。

こうした満足度の低下につながる懸念に対し、席数の確保や店舗数を増やすことで解消してきた。

また、ロイヤリティを高めるために料理に原価の50%をかけ、コスパの高いお店を目指すことでお客様に還元することを意識しているとのこと。

「29ONは会員制で年会費をもらっているため、他のお店なら10000円くらいのクオリティが7000円前後でコース料理(店舗によって金額は前後)を楽しめます。そして、メニューの内容も2ヶ月に一回リニューアル。飽きがこないように心がけることで、リピート率やロイヤリティ向上に努めています」

新たなサブスク型飲食店の業態開発にも注力

日本橋、鹿児島、仙台の4店舗まで拡大している29ON

現在は移転準備中の表参道を含めると、日本橋、鹿児島、仙台の4店舗まで拡大している29ON。

主な客層は肉好きな35〜45歳が中心となっており、性別の比率は男性6割、女性4割だそう。

クラウドファンディングで会員募集してきた背景から、情報に敏感な大人に支持されているという。

接待やデートなど、いろんな目的でお店を使用いただくケースが多いですね。以前のように何ヶ月も予約が取れないわけではなく、ある程度余裕を持たせて日取りを決めれば、問題なく席を確保できるような状況になっています」

今後は関東エリアに新店舗の出店を計画しているほか、「サブスク型飲食店の業態開発にも注力していく」と米山氏は言う。

29ONで確立したビジネスモデルを、ハンドドリップコーヒーが飲み放題の『coffee mafia』(コーヒーマフィア)や肉と魚のマリアージュを目指す『すしおん』などのように横展開してきました。会員制でコスパの高い材料を提供する飲食店は、食材を変えることで他のジャンルにも応用できるので、今は鋭意準備している段階です」

飲食店の可能性を広げる取り組みにコミットする米山氏。
業態開発に余念がない、その姿勢から一体どんなお店が生まれるのか。

さらなる飛躍を期待せずにはいられないだろう。

<取材・文・撮影/古田島大介>

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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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