賃金未払い、不安定な雇用…スクールカウンセラーが告白「劣悪すぎる労働条件」
9割以上が雇止めの不安に
「時間外の無償労働」に次いで、ストレス要因であるという回答が多かったのが「雇用の不安定さ」である。「この先、雇用契約が意に反して更新されなくなる可能性について」は「不安に感じる」69%、「やや不安に感じる」22%、あわせて91%のスクールカウンセラーが不安に感じている。
東京都の公立学校のスクールカウンセラーは、都の教育委員会に1年間の有期雇用で雇われる「会計年度任用職員」である。通常の有期雇用労働者であれば、労働契約法で不合理な雇止めは禁止され、また5年以上働いていれば無期雇用に転換する権利を得ることができる。
しかし、「会計年度任用職員」は「公務員」であるため、これら労働契約法は適用されず、何年働いていても毎年雇止めのリスクにさらされることになる。また毎年の契約更新の可否は、学校長による業績評価によって主に決定される。
そもそも心理職の専門性を持たない学校長がスクールカウンセラーの業務を評価できるのか疑問だが、加えてその評価項目は「職務遂行力」「積極性」「勤勉性」「協調性」など抽象的であり、学校長の恣意的な評価がいくらでも入り込んでしまうように思える。
学校長の発言に強い不安を感じた
加藤さんも過去に雇い止めの不安を強く感じたことがあるという。
「学校で対応に困っている案件について対応を依頼されたことがあります。その件について、ある教員から、学校長が陰で、この案件が収まらなければスクールカウンセラーのせいにして首を切ればいいと言っていたと聞き、強い不安を感じました」
学校長が業績評価を低くしその結果雇止めがされたとしても、業績評価の結果や評価理由についてはスクールカウンセラーに開示されない。スクールカウンセラーの雇用は、学校長の恣意的な評価に大きく左右されてしまうのである。
このような状況では、時に学校長や教員と対立する見解を表明しなければならないスクールカウンセラーの専門性の発揮も妨げられかねない。雇用の安定は、スクールカウンセラーが専門性を発揮するために必要不可欠な条件である。