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日本も住宅ローン金利上昇か?初心者でもわかる「金利上昇リスク」への備え方

コラム

金利よりも「いくら借りて、返済できるか」

 これから住宅ローンを組んで住宅購入を考えている人は、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

「ついつい金利に目が向きがちですが、金利はあくまでお金の借りやすさや返済負担を知る基準でしかありません。先ほどもお話したように、住宅ローンの金利は調達金利が影響しますから、契約者がどうにかできることではありません。そのため、住宅ローンを組む際には金利(%)ではなく、金額(円)で考えることが大切です

 つまり、自分はいくら借りることができて、毎月いくらなら無理なく返済ができるのかを把握します。もし金利が年0.4%であっても、返済によって家計が著しく圧迫されるのであれば、決して低金利とは言えません。私は住宅ローンに悩む方からの無料相談に乗っているのですが、彼らには『無理をしないと買えない家しか考えられないならば、まだ買うタイミングではないのかもしれません』とお伝えしています。

 借りる金額と返済できる金額を割り出したら、変動金利と固定金利のどちらでローンを組むか決めます。そのうえで、銀行各社のホームページをチェックして、適切な商品を選ぶのがよいでしょう。銀行にも他行との競争があるため、たとえば給与振込口座に指定すればホームページ記載の金利よりもさらに引き下げられることもあります。いきなり銀行のホームページをチェックするのではなく、自分たちの資金やライフプランを見つめることが重要ですね」

住宅ローン=金利変動リスクに向き合う

住宅

 なかには金利を予測しようとする人もいるかもしれませんが、千日さんは次のようにピシャリ。

35年先の金利を正確に予測するのは不可能です。なので、起こりえる金利上昇や返済額増額に備えておくことを心がけて下さい。住宅ローンを組むとは、この先起こり得る金利変動リスクに向き合うことと言っても過言ではありません」

 まとめると、「いくら借りて、毎月いくらなら払えるかを把握する」→「変動金利か固定金利かを決める」→「銀行の商品をチェックする」のステップを辿ります。

「今後の金利はどうなるかを質問される方がいますが、せいぜい予測が可能なのは5年後がいいところです。だからこそ、将来のリスクに対応できるよう、資金を貯めておいたり、ライフプランに合わせた返済のシミュレーションをしたりする必要があります。住宅ローンを組むとは、この先起こり得る金利変動リスクに向き合うことと言っても過言ではありませんから」

 家がほしくなったときに知っておきたい「住宅ローン」の考え方。複雑そうにも思えますが、実際にはかなりシンプル。みなさんも住宅ローンを組む時は参考にしてみてください。

<取材・文/薗部雄一>

【千日太郎(せんにち・たろう)】
オフィス千日代表社員、公認会計士。1972年生まれ。神戸商科大学(現在の兵庫県立大学)卒業。監査法人勤務時代に資格を伏せて開始した「千日のブログ」がきっかけとなり、住宅ローン不動産分野のコラムニストとして現在に至る。匿名の相談に無料で回答しYouTubeで公開する「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」も話題に。著書に『50歳からの賢い住宅購入』(同文舘出版)、『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』(実業之日本社)など

4歳と1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、
子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている
Twitter:@papayuyu0309
Instagram:@yuichi_sonobe

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