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生魚の異臭が…東京屈指の“高級住宅街”で地上げトラブル「バブル期並みの悪質さ」

コラム

脅すように立ち退きを迫る所有者の思惑とは?

地上げ

かごに5つの卵が入れられ、ブルーシートには「卵育て中」とスプレーでおちょくるような言葉が書かれている

 退去期限までまだ猶予があるはずだが、にもかかわらず住人や近隣住人にまで恐怖を与え、脅すように退去を迫っていることから、急いている印象を受けなくもない。そこから透ける思惑について、前出の全ツイ氏が語る。

「本物件を購入したのは、賃借人を退去させてマンションなどの用地としてデベロッパーに売却して利益を得るのが目的と思われます。土地建物の取得の際に3億円を金利4.5%で借り入れたとすると、彼らの支払う利息は月に100万円強。できるだけ早く立ち退きを完了させないと利益が毎日減少していくので、荒っぽくもなる。

 一方の住人は当然訴訟もできますし、このケースですとほぼ勝てるでしょう。しかし、それには不快な時間と費用がかかる。よほどの事情がない限り、十分な立ち退き料を交渉して引っ越すほうが、賢明だと言わざるを得ません」

悪質な地上げ屋は今後もなくならない

「賃借人は借地借家法で守られており、賃貸人がいくらお金を積んでも法的には立ち退かせることはできません。だから、悪質な行為に及ぶ例があるのです。賃借人を守るための借地借家法が、かえって地上げ屋を生むとはなんとも皮肉ですね」(全ツイ氏)

 1980年代のバブル全盛期に横行した悪質な地上げ行為だが、近年はあまり耳にしないように思える。しかし調べてもみると今回のように、実は昭和スタイルの地上げ屋は顕在している。このありさまを所有者は関知しているのだろうか。取材班は質問状を送ったが、期日までに回答は得られなかった。

 法の抜け穴が招いた悲劇は繰り返されるのか。

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