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燃料費高騰で逆風の電力業界。東電、関電も業績悪化の“深刻な事情”

ビジネス

燃料費の高騰が痛手に

 まずは売上高の推移を見ていきましょう。2019/3期は販売電力量が前年比で4.2%減少したものの、燃料費の高騰分を調整額として収入に反映させたため売上高が上昇しました。しかし、翌2020/3期は新電力の参入による販売電力量の減少が続き、減収に転じています

 2021/3期は競争激化に加え、コロナ禍による工場・法人などの需要減少があり、大幅な減収となりました。利益面では2019/3期こそコストカットや値上げで利益を確保しましたが、それ以降は「新電力会社」の参入が競争激化をもたらし、減益が続きました。福島第一原発関連の損失も依然尾を引いています。

 最新の2022/3期、第3四半期決算は売上高3兆5035億円、営業利益881億円です。会計方針が変わったため前年同期比と単純比較はできませんが、小売販売電力量の減少が続いたほか、燃料費の高騰によって減益となったようです。こうしてみると東電は、長期的には新電力の参入、短期では燃料費の高騰に苦しめられていることがわかります。

東電が苦しむ「新電力」の存在

電気代

 そもそも新電力とは2016年の電力自由化に伴い新規参入した電力会社のことで、国内ではすでに700社ほど存在しています

 法人・家庭向けに独自の料金プランを設定しており、例えばソフトバンクなどの通信業者とセットで契約するとお得になるプランや再生可能エネルギーで発電した電力を供給するプランといった大手電力会社にはなかったプランが提供されています。

 既存の送電網を使うため新電力が独自で電線を敷く訳ではありません。参入から10年もたっていませんが、2022年現在で新電力はシェア全体の約2割を占めています

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