「お前、態度悪すぎ」お客様は神様?悪質な”カスハラの実態”と、その対策
厚労省はカスハラ対策に力を入れる方針
筆者が代表理事を勤める日本ハラスメント協会の相談窓口ではカスハラの相談が増えている傾向にあります。クレジットカード会社のカスタマーセンターで働く人の事例では、お客様に名義変更するには一定の時間がかかることを伝えても「急いでいるから、何とかしてくれ」「おまえの知識不足でできないだけじゃないのか」などと個人的な攻撃をされたそうです。
会社として明確なマニュアルが存在せず、個人の裁量任せになっていたため、企業の担当者に対して、従業員が困らないように、業種に合わせたカスハラ対策を実施するように促しています。相談が以前より増えている背景として、近年、カスハラが注目されたことにより「これはカスハラだから声を上げてもいいんだ」と判断できるようになってきていることも考えられます。
厚生労働省のホームページに公開されている「第3回 顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」の資料によると、令和3年度(2021年)に厚生労働省において企業向けマニュアルを作成予定で、関係省庁連携での議論等も踏まえて作成し、周知するとあります。
カスタマーハラスメントに対する社会全体の関心を高めるため、「ポスターを作成し、関係省庁が協力して普及・啓発を行うことも考えていきたい」と記載されています。現状は企業によりカスハラ対策はバラバラで課題が残るため、企業向けマニュアルが公開されるとカスハラ対策は一歩前進するでしょう。
カスハラしている人は自覚がない?
クレームと混同して、自覚なく正義のようにカスハラをする人も多いです。誰もが客の立場として自覚なくカスハラを起こしてしまうこともあり得るため、予防策として気をつけるポイントを以下に列挙したいと思います。
◆ カスハラにならない予防策
・客だから「自分はえらい」「立場が上だ」「買ってあげている」などの考えを排除する
・対応したスタッフを個人攻撃しない
・「サービスとして●●してくれるのは当たり前」などと自分の期待や理想を押しつけない
・主張したいことは正当な理由なのか、頭を整理してから冷静な態度で伝える
誰もが自分の経験値から「普通」の基準が存在するとは思いますが、知らず知らずのうちにカスハラにならないように気をつけましょう。