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「1日の来客3人で泣いた」…日本を愛するスリランカ人カレー店主が貫いた信念

暮らし

 カレーを探求していくとたどり着くのが、その源流である南アジア地域の料理たち。インドの食べ物に触れあう機会は多いと思いますが、もっと多くの人に知ってもらいたいのがインドのすぐ下にある島国“スリランカ”の料理なんですよね

タップロボーン

スパイシービストロ タップロボーン 南青山本店

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 今回はカレー研究家の私、スパイシー丸山が青山一丁目、門前仲町、神保町と都内に3店舗を構えるスリランカ料理店「スパイシービストロ タップロボーン」のオーナー、カピラ・バンダラさんにスリランカ料理の魅力やレストランのこれまでの道のりについて聞いてみました。

開店当初は1日3人しかお客が

――現在3店舗あるタップロボーンは青山から始まりましたが、その南青山本店が10周年を迎えました。おめでとうございます!

カピラ・バンダラ(以下、カピラ):私もビックリですよ。10年、しかも青山ですよ!

――10年前は自分もスリランカ料理の知識が全然ありませんでした。お店を始めた頃はどんな反応でしたか。

カピラ:お世話になっている日本人がたくさんいるんですが、みんな反対したんです。青山でスリランカ料理だけでお店をやってもお客さんは来ないよって。「インド・スリランカ料理店」にしなさいと、それが一番心配されたことだったんですね。それぐらいスリランカ料理は知られていなかった。

 でもボクはその意見を受け入れられなかったんです。それで周りの反対を押しきり、2011年にスリランカ料理だけのお店を青山にオープンしたんですが、ビックリするくらい本当に誰も来なかったんです! 1日の売り上げなんて3000円いかなかった日がずっとですよ! お客さんはいつも3人だけ。ボクは泣きましたよ。

3か月間毎日朝6時からチラシを配った

タップロボーン

店内にはスリランカ料理で使われるスパイスが並んでいる

カピラ:それでいろいろ考えてみたんです。自分がこの社会に受け入れられるためには信頼を作っていかないといけない。じゃあ、スリランカ料理のお店をたくさんの人に知ってもらうために何をすれば良いのか? そうだ、料理を食べてもらおう! と思い、スリランカのコロッケを作って青山の歩道に立つことにしたんです。「無料で食べてみてください!」って。だけど、誰も食べてくれないんです……。

――たっ、食べないんですか!

カピラ:これには心が折れましたね。そして日本人は凄いなと思いました。知らないものはタダでももらわない。1週間コロッケを持って立ったんですが誰も食べてくれないので、今度はチラシを持って朝6時から青山一丁目駅の色んな出口に立ってみたんです。大声で「タップロボーンというお店のオーナーです。みなさんスリランカ料理を食べてみてください。私のことを信じてください」って。

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