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コロナ禍で急増「社交不安症」。人前で震えが止まらない元お笑い芸人も

暮らし

 会社のプレゼンや結婚式のスピーチで手が震えた、声が裏返ったという“あがり”の経験を持つ人も多いはず。恥ずかしがりや弱気な性格に問題があると思われがちだが、実は精神疾患の可能性も。その実情に迫る。

SAD

写真はイメージです

コロナによってあらゆる場面で深刻に

「Zoom会議で画面越しなのに声の震えが止まらなかった」「テレワークが続いたことによって、久々に外に出ると街を歩く人々の視線が怖い」

 コロナ禍でリアルな人との交流が少なくなっているせいなのか?人前に出たときにこんな極度な不安や緊張に悩まされる人が増えている。単なる「あがり症」の一例に過ぎない、と誤解を受けがちだが、実はれっきとした「病気」の可能性もあるという。

 医療ジャーナリスト・松井宏夫氏は、次のように解説する。

松井宏夫氏

医療ジャーナリスト・松井宏夫氏


SAD

「例えば人前でのスピーチなどで緊張する“あがり”は誰にでも起こり得る自然な症状です。通常であれば、回を重ねるごとに冷静に対応できるようになります。しかし、症状が習慣化して社会生活を営むうえで支障が出るようになることも。そうなると『社交不安症』、通称SADと呼ばれる精神の病気だと考えられます

「本読みの授業で突然指名を受けて…」

 それではSADには具体的にどのような症例があるのか。

「高校時代の本読みの授業で突然指名を受けて声が震えて以来、周囲の視線が気になり始めて症状がだんだんと悪化。それからずっとSADと闘っています」と、語るのは警備会社に勤めるひびきさん(仮名・27歳)。

「前職の電化製品関連会社では朝礼やスピーチの機会も多く、そのたびに症状が出て辛かった。今は一人でいることの多い警備職ですが、コロナ禍で外部の方を検温する際に検温レーザーを持つ手が震えて恥ずかしいです」

SAD

ひびきさんは歯医者の治療時や美容室で散髪されているときにも体の震えがあったそうだが「投薬で症状は治まった」と語る

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