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SNS投稿で「w」より「笑」を不快に感じる人が多いワケ

暮らし

この投稿の何が危ういか?

スマホ

 たとえば、この投稿では「w」を「。」に修正している(2段落目)。このご時世で、新型コロナウイルスの感染防止対策として仕方ないとはいえ、マスクの上からフェイスシールドとはあまりにも馬鹿げている。

 投稿の冒頭でも書いているが、これを強制される子供たちが気の毒でならない。そこで2段落目では、こんな施策を講じた教育行政に対する批判(嘲笑)の意味を込めて「w」とした

 だが、この文章自体の主語は小学生だ。日本語の特性として主語が省かれているが、文意は「(小学生たちは)溶接用サングラスは各自持参するのだろうかw」である。しかも記事のサムネイルも小学生の写真だ。

 そうなると2段落目の「w」によって、私が小学生を茶化しているようにも見えかねない。当の小学生は大人の指示に従うほかなく真剣そのものである。それを茶化していると受け取られるのは不本意だ。

「w」「(笑)」のニュアンスの違い

 だから投稿直後に「w」を「。」に変えたのである。ほんのな語尾の変化だが、読む人に与える印象はガラリと変わる。さらには私の批判の対象をより明確にすべく、同じタイミングで3段落目を加えた。

 結果として、この投稿は何かを茶化すというより、もう少し真面目な批判文となった。ときには推敲段階でこうしたテイストや論旨の変化が起こることもある。

 ちなみに多くの人が何気なく使っているであろう「w」だが、「(笑)」よりもいろいろな意味合いがある。

「(笑)」には、どことなく読者にも笑うことを強制するニュアンスがある。「ね、笑えるでしょ?」という書き手の内なる声が聞こえてくる感じがするのだ。「w」には、そういう押しつけがましいニュアンスがない。
 
POINT
・文章に「遊び」の要素を盛り込むために、茶化すのも時にはOK。
・茶化しが相手を傷つけるいじりになってはいけない。
・語尾を「(笑)」「w」、どちらにするかだけでも読み手の印象は一変する。

<TEXT/書評サイト「HONZ」代表 成毛眞>

1986年日本マイクロソフト設立と同時に参画。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社の(株)インスパイア設立。2010年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。

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