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投資ブームでカモられない、お金とは違う“生きるための投資”の話 

コラム

株のように関係を深めることができる

交渉 ビジネス

 この「何かしないといけない感」を「心理的債務」と呼びます。よくしてくれた人に対しては「心理的債務」を負うことになるんですね。

 債務の対義語は債権ですから、ごはんをくれたおばちゃんや引越しを手伝ってくれた友達はあなたに対して「心理的債権」を持っていることになります。単純な債権―債務の関係は、100円貸して100円返してもらったら消滅してしまうのですが、「心理的債権―債務」の関係は、お互いに親切を重ねていくことによって、株のように関係を深めることができるのです

 仮にこれを「感情株」としましょうか。同じようなものを状況によって使い分けていると思ってください。

「感情株」はまさに株のように、ピンチのときには値下がりし、好調のときには値上がりします。なので、ピンチの人を助けてあげるとその人の「感情株」を安く買うことができるわけですね。助けてあげたことによってその人がピンチを脱して好調になれば、持っている「感情株」も上がるわけです。これは投資として成功ですよね

「心理的債権」は「物理的債権」と違って、明確に額面に金額が記載されていません。そして、法的な拘束力もありません。なので、債務から逃げる人は逃げます。ただ「心理的債権」はそもそもが現金を債権に直接換えたものではないので、あまり問題ではないのです。

「感情株」の大株主を目指そう

 普通の株や普通の債権を持つためにはこちらに現金などの元手が必要ですが、「感情株」や「心理的債権」はお金がかからないか、かかったとしてもきわめて少ない額で持つことができます。

 ということは、あなたがほとんどお金を持っていなくても、あなたは「感情株」の大株主になったり、「心理的債権」を多く持っている人になれる、ということなんですね。

「感情株」や「心理的債権」というのは本当に簡単に持つことができて、早い話がニコニコして近所の人に挨拶していれば、近所の人はあなたに好感を持ってくれるので「感情株」を持つことができる、ということになります。お子さんが小学校に上がったのでプレゼントとしてノートをあげる、とか結構嬉しいと思いますが、元手は200円もかかっていないわけです。

 ですので、できるだけたくさんの人の「感情株」を持ち、「心理的債権」を持っておくと、あなたがピンチに陥った時に誰かが助けてくれる確率が高くなるわけです。同時に、あなたが多くの人の「感情株主」であれば、あなたの「心理的債権」を踏み倒した人に対して、多くの人が「あんなに普段から良くしてくれてもらっていたのに、ひどいやつだ」と感じますので、その人の評判が著しく落ちる、ということになります。

とにかく死なないための「しょぼい投資」の話

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