ダメダメ社会人が「累計1000万部」ベストセラー編集者になれた理由
理解してもらうには「準備」が一番大事
――「考える技術」をもとに何か案を思いついたとしても、新しい意見だと理解を得られないことが少なくありません。どのように働きかけたらいいのでしょうか。
柿内:一番は準備だと思うんです。例えば会議だったら、誰かがこんな意見をするだろうとか、誰が決定権を持っているとか、ある程度、顔が見えますよね。その人たちが何に反応するのかを観察して、クリアできる要素を準備しておけばいい。
それって世の中に届けるときも同じことです。商品や企画をつくるときって、目先のこの人たちを説得できない状態でお客さんに届くのか? ということです。
「考えること」の必要性が高まってくる
――自分で考えなくてもスマホひとつで解決できる時代です。現代人は考える力が乏しくなっているという見方もあるかと思いますが、柿内さんはどう思いますか?
柿内:そんなことはないと思います。インプットはとにかくしやすくなっています。いまや世界中の情報にアクセスできるし、オンラインで距離を越えたインプットもできます。これは相当な時短だと思います。その分、考えることに使える時間を増やすことは可能です。
ただ、中にはただ調べて終わりにしてしまっている人もいるんだと思います。調べるだけでは価値がないんですよね。考えて、価値に変えていかないといけない。
昔は「ここまで調べました」だけでも価値になっていたんですけど、いまは価値を生み出すことが大切です。そういう意味でも、「考えること」の必要性がより高まっている時代だと思いますね。
<取材・文・撮影/ツマミ具依>