コロナで大打撃のアパレル・飲食。同じ業界でも悲痛度に差が…
接待やインバウンド需要は激減
新型コロナ禍でダメージを受けている代表的な業種と言えば飲食店が挙げられる。とりわけ中央区や港区の高級飲食店の落ち込みは深刻だ。銀座は大手企業が2月末から続々と在宅勤務となって昼間人口が激減。さらに3月末の都知事の会見以降は、都内の高級店にキャンセルの嵐が吹き荒れた。
都内の飲食店事情に詳しいフードライターは「全飲食店に逆風と言っていい状態ですが、価格帯によって逆風の強さには幅がある」と実情を語る。
「もっとも厳しいのは超高級店。インバウンドと接待需要で成立していた店が多く、露骨にインバウンド狙いだった新興店からはあっという間に客が引けました。一方、星のつくような名店や老舗は融資や常連の支え、大家からの家賃の減免などでなんとかしのいでいるようです」
その下の高級店も選別の渦からは逃れられない。接待需要の客離れに加えて、無理を押してでも来ていたグルメ層の行動様式が変わるからだ。
飲食店それぞれの生存戦略
「もっとも腕が確かな店も多く、味に熱烈なファンがついているのもこの価格帯の店の特徴です。中級店も含めてレトルトや通販など、これを機に新たな業態に乗り出す店も増えています。店主のフットワークが成功のカギ。複数の柱で業態の強靭化に成功すれば、飛躍も望めます」
今後、客の財布のヒモは固くなり、店は選別され、“ソーシャルディスタンス”も当然の世になっていく。値上げをしても「店舗での売り上げはこれまでの70%程度」にとどまるという。
「足りない分を埋めるため、新業態に乗り出したり、店主自ら出前に出るようなタフさが必要です。最近『アフターコロナ』や『ウィズコロナ』の話を耳にしますが、コントロールできない以上、当面『アンダーコロナ』とも言うべき世界で首をすくめて生きるしかありません」
<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/アフロ>