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松葉づえで1か月通勤したら…電車で「誰も席を譲ってくれない」悲しい現実

学び

落とした松葉づえを拾ってくれたのは中国人

松葉杖

「骨折するまでは気がつかなかったけど、みんな歩くのが早いんですよ。こっちはどうしてもゆっくりになるから後ろから次々と追い抜かれ、その際に身体やかばんが私の松葉づえに当たって、落としてしまうこともありました。

 しかも、このときもみんな朝で急いでいるからか松葉づえには見向きもせず、拾ってくれたのはなんと日本に観光で来ていた中国人のおじさん。よく『日本人は親切だ』なんて話を聞きますけど、アレは絶対にウソだって思いましたね」

 また、会社の最寄り駅は地下にあり、地上に出る階段にはエスカレーターがないため、ここでも苦労します。

「階段は幅が狭く、私がゆっくりしか上り下りできないから後ろが渋滞してしまうこともあって。それはすごく申し訳なく思いました」

 自宅からの所要通勤時間は約70分。ただし、松葉づえ通勤中は時間がかかってしまうため、余裕をもって普段の40~50分前には家を出るようにしていたそうです。

今では積極的に席を譲るように

「当時はひとり暮らしで車も持っていなかったから家から最寄り駅に行くのも時間がかかってしまって。それまでは仕事終わりに同僚と飲んだり、買い物や映画を観るなど結構寄り道をするほうだったのですが、このときだけは毎日真っすぐ家に帰りましたから。

 ギブスが取れ、松葉づえ通勤から解放されたときは本当にうれしかった。あんな経験はもう2度としたくないですね」

 ほかにもこの経験を教訓にして自身の意識も大きく変化。具体的に何が変わったのでしょうか?

「電車やバスの優先席には絶対座らないようになりました。それ以外の席は空いていたら座りますけど、お年寄りの方や妊婦さん、小さな子供を連れている方を見かけたら席を譲るようにしています。恥ずかしながら私も以前は知らんぷりをしていた側でしたが、自分が逆の立場になってはじめてそれではダメだとわかったんです」

 松葉づえでの通勤は本当に大変だったと思いますが、それを通じて学んだことも大きかったようです。

特集・私の“痛勤ラッシュ”レポート

<TEXT/トシタカマサ イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中

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