内定後にまさかの留年決定。企業と教授にお詫びメールをしたら…
企業に謝罪。留年回避のためにとった行動は
Sさんは電話の翌日、謝罪も兼ねて内定先に直接訪問した。
「面接を担当してくださった人事部長の方と面談して『まずは留年を回避するためのあらゆる可能性を考えよう。教授に誠意を見せよう』ということになりました。その場で教授の連絡先とか学閥を調べてくれて、今後の対応について一緒に打ち合わせました。
研修日程や人事採用の兼ね合いから、大学を卒業しないと採用は難しいとのことでしたが、『もし土日に授業が履修できるのであれば、研修中に通って単位を取得できないか』など、いろいろな可能性を提案してくださったのを覚えています」
“自主研究レポート”を執筆して教授に提出も
面談をした後、Sさんは大学の学部事務室・学生課・キャリアセンターをまわったが、いずれも「教授と話をしてみないことには、大学では対応できない」とのことだった。
「かろうじてキャリアセンターからは、『土日も履修できる通信科で卒業したらどうか』とアドバイスをもらえましたが、教授に直接働きかけることはできないとのことで……。本当に途方に暮れましたし、自分に絶望しました。ただ、成績調査期間に再調査をお願いすれば評定が変わるかもしれないので、人事部長と打ち合わせた“自主研究レポート”を執筆して、教授に持っていくことにしました」
大学では、履修単位の成績が間違っていないか教授に確認の取れる調査期間が設けられている。Sさんは評価の足しになるかもしれないと、成績調査に合わせて1万字近い自主研究レポートを作成した。しかし当日、教授にはレポートを一切受け取ってもらえなかった。
「『自分の努力不足で留年したのに、責任を委ねるな。成績の再調査は行う。私にできるのはそれだけだ』と叱咤されました」
単位を落としてからでは遅い。地道な努力を
成績調査の結果、出席点が5点足らずに単位を落としていたという報告書が郵送されてきた。その後も改めて、学生課やキャリアセンターにも嘆願したそうだが、成績には関与できないとのことだったそう。
「内定先にこのことを伝えたら、『自分なりに頑張って無理だったことは仕方がないから、また来年、受けに来てください』とのことでした。教授に怒られた時に、『与えられた最低限の課題をこなせない学生を、社会に出すことはできない』と言われたのがずっと胸に残っています。
この日を境に気持ちを切り替え、勉強と再就活に専念しました。結果、留年はしてしまいましたが、今年は昨年よりも満足の行く形で就活を終え、授業にも励むことができたので、良い勉強をさせてもらえたと、今では感謝しています。」
成績発表で評定が確定してしまうと、余程のことでない限り変えることは困難。留年回避するためにはやはり、地道に与えられた課題をこなし勉学に励むことが、一番の近道なのかもしれない。
<TEXT/bizSPA!取材班>