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面倒な「飲み会の幹事」を上司に頼まれたら?<上司語のホンネ>

コラム

Q3「あいつはクセがあるな」

上司の本音③「あいつは癇(カン)に障る奴だ」

 上司が会社内の誰かを評して、こんな言葉を吐くことがある。

 部下のひとりを評して言うこともあるし、他の部署の上司の同年代の社員を評して言うこともある(後者の方が頻度は高い)が、意味は変わらない。

 要するに、上司はその人物に好意を持っていない。はっきり言って、嫌っているのだ。その人物がやったちょっとしたことが癇に障っているのだ。

 大したことではなく、ちょっとしたことだけに、あからさまに不快感を表すと、上司自身が感情的な反応をしているように見えてしまう。だから、クセがるというコトバを使って、ごまかしているのだ。

 こんな言われ方をするぐらいなら、「あいつは変人だ」と言われた方がよほどマシだ。変人というコトバには、どことなく愛情が感じられるが、「クセがあるやつ」のことは本当に嫌いなのだ。

 この言葉を聞いたら、上司がその人物と相性が悪いことを肝に銘じよう。間違っても。上司の前でその人物を褒めたり、「こんど○○さんと食事に行くんです」と、その人物と親しいことを、嬉しそうに話したりしてはいけない。

Q4「(歓送迎会の)幹事をやってくれ」

飲み会 ビジネス

上司の本音④「これは、キャリアアップの第一歩だぞ!」

 部署内で歓送迎会を催すときに、上司があなたにこんなことをいってきたらどうすれば良いか。歓送迎会の幹事に指命されるのは、だいたい下っ端の社員と相場は決まっている。だが、右も左も分からない新人が指名されることはない。

 普段から上司が「あいつは危ない」と思っているような、低評価の若手を指命することもない。仕事もそつなくこなしているので、こいつなら大丈夫だろうと思っている入社2~3年目の若手を、上司は指命する。

 もしあなたがこんなことを言われたら、宴会の幹事だからといって甘くみてはいけない。上司はあなたを幹事に指名して、あなたの働きぶりを観察しようと思っているのだ。

 だいたい会社の歓送迎会というものは、オフィスの近隣にある居酒屋などで行われる。幹事のメインの仕事はお店を選ぶことであり、一度幹事に指命されたら、その後、1年間は何かにつけ宴会の幹事役を任されることになる。

 上司はあなたが、みんなに喜ばれるお店をチョイスできるかを観察している。宴会は、お店にとってはでかいカネが動くので、幹事を、キックバックなどの餌で釣ってくることがある。幹事さんにビールを何本かサービスなどというのもある。そんなときあなたが、このような利得をみんなに還元するか、それとも個人のものにしてしまうのか、上司は観察している。

 言い換えれば、カネ癖がいい奴かどうか、見ているのだ。歓送迎会のキックバックで会社をクビになることはない。しかし、カネについての評判は一生ついてまわる。あなたは、そんなくだらないことで、サラリーマン人生を棒に振るようなことはしてはいけない。

 要するに、(歓送迎会の)幹事は仕事ではない、なんて思っていたら大間違いだ。学生時代のコンパの幹事と異なり、これは、上司があなたを試すために振ったミッションなのだ。

 これはサラリーマンとしての第一関門であり、幹事役をする前とした後では、上司のあなたへの評価は大きく変わる可能性もある。ここでしくじれば、その後の出世競争に参加すらできなくなるかもしれない。

 そつなくこなし、このミッションをクリアすれば、あなたの評価はワンランクアップ。上司は、こいつの仕事ぶりをもっと見てみたいという気になり、他のある程度重要な仕事を振ってくる可能性が高い。

 サラリーマン社会においては、往々にして直接の仕事ではないことで、人物評価ができあがってしまうことがある。そのことを忘れてはいけない。

<取材・文/櫻田進ノ介(@kojiro_1975)>

サラリーマン研究所 所長、大企業の企業カルチャーに精通。大阪生まれ、東京大学工学部卒、同大学工学系大学院修士課程修了、大手ビジネス系出版社の編集委員を経て、フリーに

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