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「独身は信用しない」投稿で炎上。企業アカウントの落とし穴

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アカウントの運営にはガイドラインの設定を

 また、アカウントのプロフィールには「複数人でツイートするので多重人格です」との文言がある。こうした複数人で運営する企業アカウントの注意点を、石川氏はこう解説する。

「ユーザーからのリプライに返信している場合、24時間の対応を1人で行うのは現実的ではないため、複数人で行うケースも増えてきています。複数人で1つの企業アカウントを運用する際は、細かいルール(キャラクター設定、NGワードなど)の設定をし、ガイドラインを定めておくのが一般的です。複数人でやろうと、一人で行おうと、見ている人が嫌な気持ちにならないようにはどういった表現がいいかを考えるという姿勢が必要です」

 このキャラクター設定が成功を生むこともある。実際に、企業アカウントの代表的存在ともいえるシャープのTwitterアカウントは、他社アカウントと積極的にコミュニケーションをとるなど、人間味のある“ゆるいツイート”が人気で、フォロワーは53.5万人(執筆7月4日時点)で、「シャープさん」の愛称で親しまれている。

企業アカウントで“炎上商法”は成り立つのか

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※画像はイメージです

 では、企業アカウントの運用はどのような人物・チームで行うべきなのだろうか。

「どのようなことを言えば、見た人が不快な気持ちになるかが分かり、他人の気持ちに立てる人物が向いています。逆に『目立てば過激なことを言っても構わない』という意識の社員はリスクが高いです」

 思わぬ炎上による損失を防ぐため、企業側はネットリテラシーの有無を含め、運用者の適性を見極めることも重要になってくるだろう。SNSという手軽なツールだからこそ、「目立ちたい」「フォロワーを増やしたい」という一心で、あえて炎上をさせてしまうケースもある。いわゆる“炎上商法”と呼ばれるものである。

 クローバーフィールドも炎上のさなか、ユーザーからのリプライに対して「炎上かどうかはともかく、多くの方に見ていただけるのはありがたいことです」と返信しており、「炎上商法では?」との声も寄せられている。企業アカウントにおける炎上商法にメリットはあるのだろうか?

「企業アカウントを意図的に炎上させるメリットをあえて挙げるとすれば、“知名度が上がる”ということでしょうか。“悪名は無名に勝る”という考え方があるのなら、あり得ますが、炎上というリスクに対するリターンが見合っているとは思えません」

 知名度と引き換えに、企業のイメージや信用度を大きく下げてしまっては元も子もない。

<取材・文/鴨居理子>

「bizSPA!フレッシュ」エディター

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