いまだにFAXが重宝される業界の謎。意外な利点も… #全宅ツイ
建築業界でも似た状況が…一級建築士が語る
「FAXを使ってるのは不動産業界だけではありません。建設関係の職人さん、業者さんとのやりとりでも現役です」
こう語るのは一級建築士のお鯛(@otto_morgen)氏です。建築業界の実情について、ため息混じりに言います。
僕なんか名前書くだけで貰えた時代の建築士なので何も出来ません。
— お鯛 (@otto_morgen) 2018年12月5日
「メールアドレスはあるけど、まず見ない職人さんが多くて。メールを送った後に電話で『メール送りました』と連絡をして、その返事は手書きのFAXで送られてくる、なんてやり取りしてます」
個人の職人ならまだしも、会社員でも全くメールが使えない人もいるのだとか。
「この前なんて50代の現役商社社員に、『数字のミスがあると怖いのでメールでやり取りしませんか?』と言ったら、『メールは使えないので無理です!』ときっぱりお断りされたことがあって唖然としました」
このため「若手社員でもメールに添付されたPDFをわざわざ印刷して、手書きで書き込んでFAXする非効率なやり取りをしている」と、お鯛氏はボヤきます。
相手への思いやりがFAXを存続させる?
メールやLINEの手軽さを知る者からすると、非効率に思えるFAXでのやり取り。しかし意外なことに、あくの氏はFAXに対して「あってもいいんじゃないでしょうか。これでしか連絡取れない方がいて、仮に他の連絡方法を提案して『それなら取引しなくてええ』と言われたらそれまでですから」と肯定的です。
さらに「大事なのは相手のデバイスにあわせること。物件情報を占有してる方に合わせたアプローチで迫れば良いと思ってます。合理的な行動が成約につながるわけでないので、なんでもいいです。取引ができれば」と達観した様子。
また、ケビン氏も次のように指摘します「不動産業界の殿上人たる地主さんにPCを使わない人が多いことから、『お客様に最適化する』必要があります。これこそ商売の鉄則であり、不動産業界で今でもFAXが使われる理由といえます」。
実はFAXにはこんな利点も…
デメリットばかり目立つFAXですが、意外なメリットも存在するようです。紙だからこその利点について、あくのふどうさんさんは「不動産取引では、図面や概要書などペーパーが多いので、そのまま一緒にファイリングできるのは利点です。紙で見せることで他人との視点を合わせやすく、お年寄り相手でも違和感を与えないのは便利です」と語ります。
お鯛氏は、メールと比較して「プッシュ型」であるFAXに優位性があると指摘します。
「メールはソフトを立ち上げて受信しないと読めないプル型ですけど、FAXは勝手に出力されるプッシュ型です。これがFAXが生き残っている理由だと思います。必ず出力されるというFAXのリマインダ機能はありがたいのですが、勝手に広告を送られて紙が無駄になるのが難点です」
セキュリティの観点からアドバテージがあるとするのが、ケビン氏です。
「FAXはIT業界で『セキュリティ面で優れており、情報漏洩リスクが少ない』という変な評価を得てます。デジタル情報は、一度漏えいすると容易に無限コピーされます。しかし、FAXなら仮に誤送信しても、被害は限定的となる可能性が高い。もし誤って一般家庭に送っても、ゴミ箱直行で終わりじゃないでしょうか。もちろん誤送信しないのが一番ですが」