本場仕込みの「ディージェイ、ケオリ~」が生まれたワケをDJ KAORI本人に聞く
嫌な目にあったら「NO」を伝える勇気を
また、普段からクラブへ通わない層からは「ドラッグ、ハラスメント、ナンパ」というイメージがどうしてもつきまとう。このようなシーンの現状についてはどう考えているのか。
「クラブによっては、ステイメントを出しているところもありますし、自分が攻撃的になってしまって、トラブルの元を作らなければ、特に心配せずに安心して楽しめると思います。普通に仕事終わりのサラリーマンの方も遊びに来ていますし、健全にしていれば、特に取り立てて身構える必要はないでしょう。
ただ、もし何か被害を受けた際は必ず『NO』を伝える勇気が重要です。例えば、女性がセクハラを受けたら、やり過ごさずに『NO』を主張すること。日本人って、どうしても『相手にどう思われるか』など気を遣ってしまいがちですが、『自分がどう思うか』をはっきり表現するのは全く悪いことではありません。
私自身も、ニューヨークではDJで精一杯だったこともあり、『NO』とはっきり断りましたし、嫌なことは嫌と伝えることが大事なのではないでしょうか」
やめたら結果は出ない。継続が最も大事
今年で日本デビューから23年目を迎えるDJ KAORIさん。最後にDJカルチャーの未来や今後の展望について聞いた。
「昔に比べて、大小さまざまな箱ができ、DJも増えたので、DJシーンは多様化しています。DJは1つの職業として確立されていると言っても過言ではないでしょう。ただ、そのぶん結果を出して存在感を示すためには、相応の努力や工夫が必要になります。
自分で楽曲を作るプロデューサー兼DJとして、あるいはモデル×DJ、ライバー×DJなど、やり方はたくさんあると思いますが、何かセオリーがあるわけでもなく、『思わぬところから新星が生まれる』と個人的には感じています。
今の時代、やりたいことは色々とできるので、自分の道を信じてチャレンジしていくこと。最終的には自分次第なので、DJとして現場でプレイするモチベーションが大事になってきます。そして、やめたら結果は出ないので、一番は継続すること。これに尽きると思います」
DJ KAORIさんは、コロナ禍になった時期から、DJとしてのキャリアをあらためて見つめ直したそうだ。人生100年時代と言われるなか、今の自分に何ができるのか。DJシーンにどう貢献できるかを考えながら日々活動しているという。
<取材・文・撮影/古田島大介>