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テーマパークのチケットも経費に?「確定申告」「年末調整」のキホンを税理士に聞く

コラム

「副業300万円問題」を制すればメリット大

大河内薫

大河内薫先生のYouTubeでは、事業所得の判定基準についてもわかりやすく触れている ※画像はYouTubeより

 副業に対するハードルが少し下がって気になるのが、世間を騒がせた「副業300万円問題」。2022年10月7日に通達された「所得税基本通達の制定について」の一部改正がこれに当たり、2022年1月にさかのぼって適用。2023年2~3月におこなう確定申告から影響がある。

「副業で得た収入は、事業所得もしくは雑所得のどちらかで申告することになります。今回の改正で『副業収入が300万円以下で帳簿書類がない』などの場合は雑所得になることが明確化されました。これがいわゆる“副業300万円問題”です」

 雑所得よりも事業所得で申告したほうが、メリットは多い。たとえば、普通は何年かに分けて申告が必要な経費も30万円未満なら一括で計上できたり、家族の給与を経費計上できたりもする。そしていちばん大きなメリットとなるのが、「青色申告特別控除が受けられる」ということ。

払い過ぎた税金が還付されることも

「青色申告特別控除というのは経費を引いたあとに、プラスαで10万円・55万円・65万円のいずれかを上乗せして引くことができます。どの金額を差し引けるかは条件によって異なりますが、雑所得の場合は経費しか引けません

 ほかの所得と損益通算ができるのも大きなメリットと言えます。たとえば、給与所得が500万円で、副業のほうは頑張ったけれど利益が出ずに経費ばかりがかかってしまってマイナス100万円だったという場合、給与所得と事業所得のマイナス分を相殺し、所得合計は400万円となる。400万円に対して税金の計算をすることになるため、年末調整で払い過ぎた税金が還付されます

 年末調整や確定申告を知れば、受けられるメリットも多くなる。副業で収入を増やしたいと考えている人は税金面について全体像を把握し、節税の恩恵を最大限に受けて1円でも多く手元にお金を残してほしい。

<取材・文/山内良子>

【大河内 薫】
株式会社ArtBiz代表取締役。税理士。芸術学部卒という税理士として異色の経歴を持ち、芸能・芸術・クリエイターに特化した税理士事務所を経営。また、税理士として日本最大級のYouTubeチャンネル、音声メディアや各種SNSでお金の知識を発信。現在はオンラインコミュニティ「マネリテDAO」を活動の中心に据えて、お金の教育を普及すべく活動中。小学校から大学まで、実際の学校でお金の授業を行ってる。著書は2冊で累計35万部

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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