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「鉄道好きのカリスマ」が開発し、JR東日本も導入した発明品とは?

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 駅に設置されているホームドア、最近少しずつ目にする機会が増えました。実は、向谷実さん率いる「音楽館」では、トレインシミュレーターの他にも、ホームドアの開発もおこなっているのです。

 彼が開発したホームドアは、扉部分にバーを用いることで大幅な軽量化、省スペース化、そしてコストカットに成功しました。さらにバーになったことでホームの視認性が向上し、乗務員の安全確認がしやすいというメリットもあり、注目されています。このホームドアは、JR九州筑肥線九大学研都市駅にて試験的に導入されました。

情熱はシミュレーター開発にとどまらない

恵比寿駅ホームドア

恵比寿駅ホームドア  CC BY 2.0

 日本で初めてホームドアが設置されたのは1974年1月1日。東海道新幹線の熱海駅に設置されました。その後、少しずつ設置駅の数は増加しています。国土交通省の「ホームドアの設置状況」によると、2018年3月現在、725駅にホームドアが設置されています。「交通政策基本計画」によると、2020年までに800駅まで増やすことが目標として設定されています。

 ホームドアを設置するのは簡単なことではありません。重量のあるホームドアを設置するためにはホームそのものの強度を上げる工事をする必要がある駅もあります。その他にも決まった位置に電車を停止させる定位置停止装置の設置など、山手線全駅の整備費用だけで、約550億円の予算が見込まれていました。

「音楽館」の開発した軽量型ホームドアは、2020年度中に筑肥線 下山門~筑前前原間の全ての駅に設置が予定されています。彼の鉄道に賭ける情熱のおかげで、また1つ鉄道の安全が向上したと言えるでしょう。

好きなものは全力で取り組む生き方に感嘆する声

 SNSでは、好きなことに全力で取り組む向谷さんの姿に、称賛の声が集まっています。

「鉄道が本当にお好きなんだ。カシオペアの頃から変わらず楽しそうでほっこり!」
「メロディの話も向谷さんらしさが出ていてよかった!」
「カシオペアの向谷さんが今こんな人生を歩んでいるのか。人生は奥深い」

「最近はたまにピアノを弾くと、お上手ですねと言われる」と語るユニークな向谷さん。は、シミュレーター開発のかたわら、現在も音楽活動を続けています。

「好きこそものの上手なれ」、仕事も心から楽しんで、全力で取り組むことで、素晴らしい仕事が達成されるのですね。

<TEXT/上山ヨーコ>

中高を一貫の女子校で過ごし大学で美術を学ぶ。公立美術館で2年半の勤務を経て、現在は時事やビジネス情報を中心に執筆をする。旅行と音楽と犬が好き

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