「アットホームな職場」がなぜ“ブラック”に感じるのか?居心地が悪い職場のワナ
人間関係の軸は「尊敬」。ジョブ・クラフティングという考え方
上司は選べない。そして、上司の言うことを聞いているだけでは成長できず、後悔しても誰も責任を取ってはくれない。アメリカの大手人事コンサルティング企業が、2020~2021年に実施した調査によれば、日本において「働きがいを感じる社員」の割合は56%に過ぎず、世界の平均値より10%も低い最低水準となっています。
こうした時代に、私たちはどのような気持ちで仕事に向き合えばよいのでしょうか?
そのヒントが、前回の記事で比較した「上司・部下」と「師匠・弟子」の比較にあります。勘の良い人はピンときているかもしれません。つまり、会社員であってもアルバイトであっても、自分を「職人」と捉えて仕事に向き合えばよいのです。そう捉えると、今いる職場の景色も変わってきます。
自分を「職人」と考えて仕事に取り組む
まず、人間関係のベースが、上司・部下の上下関係ではなく、「尊敬できる人=師匠」との考え方になります。厳格な師弟関係ではなく、「この人のこういうところは尊敬できるな」「この人のこの仕事のやり方は好きだな」くらいのライトな師匠でいいのです。専門的な用語を使えば、「ロールモデル」と言い換えることもできます。考え方や行動の模範となるような人物です。
そして、このように「尊敬」を軸に人間関係を捉えると、役職、社歴、部署はもちろん、年齢すら関係がなくなります。年上でも尊敬できない人はいますし、年下でも尊敬できる人はいます。職場であらかじめ決められた人間関係は、関係ありません。
プレゼン能力に優れた若者たちなども、その領域においては尊敬できる師匠となります。こうした存在を、上司や同僚など近しい人々の中に見つけられたとしたら、とても幸運です。しかし、残念ながら見つからなかった場合でも、職場のどこかに「心の師」と仰ぐ人を見つけられれば、ひとつの方向性を見いだせます。
その人を参考にして、なりたい自分になろう、仕事に前向きに取り組もうと思えるようになります。言われるがままに嫌々やっていた仕事も、「あの人ならどうするだろう?」と考えながら、自分なりに工夫できます。