「お前は使えない」と睨まれたら…合わない上司と“正しい関係”を築くコツ
「日本人は生産性が低い」。昨今、こんな言葉をよく耳にするようになりました。まるで個々の働き手の責任のようにも感じられますが、生産性の高低は、必ずしも私たち個人の責任ではなく、時代、景気、環境、職場、人間関係……自分の頑張り以外のさまざまな要因が絡み合っています。
これまで400以上の企業・行政機関に携わってきたワークスタイル&組織開発専門家の沢渡あまね氏は、「生産性も働きがいも、仕事は職場が9割」と言います。むやみに自分を責めたりネガティブになる必要はまったくないそうです。今回は沢渡氏の著書『仕事は職場が9割 働くことがラクになる20のヒント』から、一部抜粋・編集してご紹介します。
選びようのない人間関係「上司と部下」
職場のストレスで、もっとも大きなものが「人間関係」です。特に、上下関係が存在する上司との関係性に悩む人は少なくありません。しかし、ほとんどの職場には、極めて特殊な事情が存在します。
それは、「上司や同僚は選べない」ことです。
社会に出るまで、特殊な人間関係である家族は別として、こうした状況にはなかなか遭遇しません。たとえば、学生生活ではクラスは選べませんが、その中で親しくする友人は選べます。担任教師も選べませんが、ほとんどの場合、中学校以降は会社の上司のような密接な関係にはなりませんし、そもそも1、2年で代わっていきます。
職場で注目される「心理的安全性」の重要度
その意味で、社会に出るまでの学生生活でもっとも会社に近いのは、部活動でしょう。監督、先輩、同級生、後輩。私たちは何の部活に入るかは自主的に選択できますが、そこでの人間関係を選ぶことはできません。
しかし、それでも学生には「退部する」自由があります。
近年、組織の中で自分の考えや気持ちを安心して発信できる「心理的安全性」の重要度が注目されていますが、部活動の場合、「退部」という最終的な自由があるわけです。
ところが、社会人になると、この自由が途端に見えなくなってしまいます。本来は「退職する自由」が誰にでもあるはずですが、経済的な問題だったり、社会人としての責任なる漠然としたプレッシャーの下、自由がないように思えてしまいます。