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息を吹き返した「高級ホテルの代表格」、“爆買い”しない欧米の観光客が後押しに

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欧米の観光客が宿泊費に投じる金額は…

帝国ホテル

国別観光者数画像※日本政府観光局「訪日外客数の動向」より

 背景のひとつとして、円安ドル高の影響があるのは間違いないでしょう。アメリカに限らず、ヨーロッパからの観光客は、宿泊費に多額のお金をかけるというデータがあります

 観光庁の「訪日外国人の消費動向(2019年年次報告)」によると、アメリカ人観光客の宿泊費は1人当たり8万3000円。イギリスが10万3000円、フランスが10万円です。一方、中国からの観光客は4万5000円、韓国が2万5000円、台湾が3万3000円となっています。

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※観光庁「訪日外国人の消費動向(2019年 年次報告)」

 アジアの人々は宿泊費を抑え、買い物代にお金をかける傾向が強く、欧米の人々は宿泊や飲食代にお金を費やし、買い物にはさほどお金をかけません。

 アメリカやEU、イギリスが利上げをすれば、金利差が生じて円安が進行します。今後も旅行を計画する欧米の人々が、日本に目をつける可能性は非常に高いです。その恩恵を最も受けるのがホテルであり、特に帝国ホテルのような高級宿泊施設が有利になります

外資系高級ホテルも客室稼働率が上昇

 外資系高級ホテルの客室稼働率が上がっています。ジャパン・ホテル・リート投資法人が所有するヒルトンお台場は、2022年9月の稼働率が67.6%でした。1月は50%を下回っていました。

 同じくジャパン・ホテル・リートが保有する沖縄のリゾートホテルや、東京ディズニーリゾート近くのホテルも稼働が上がっています。現在のリゾートホテルは、日本人観光客が中心だと考えられますが、外国人観光客が加わることで稼働率は、さらに高まり、客室単価が上がることにも期待できます

 ホテル全体の稼働が上がると帝国ホテルも客室単価を上げやすくなり、収益性を高めることも可能に。上半期はまだ回復の途上。下半期に期待がかかります。

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