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コロナで急増…生活保護を受給する「その他の世帯」とは。不正受給とも違う

ビジネス

「1人あたり40万円」は妥当なのか?

履歴書

 川崎市は2020年の事業実績(「令和4年度川崎市就労支援事業(川崎市総合就職サポート事業)業務委託仕様書」)を報告しています。それによると、生活保護受給者の支援対象者数は422名。そのうち、就職したのは45%(190名)、3か月定着率は80%(152名)でした。

 パソナの2022年5月期のBPOサービス(運営受託事業)の営業利益率は6.1%。この数字をそのまま当てはめると、580万円ほどがパソナの利益。企業の利益分を差し引くと、生活保護受給者就労支援事業には実質6000万円ほど投じられていることになります

 2020年の実績に2022年の予算を当てはめると、このプログラムを経て3か月以上働いた人は152人なので、1人あたり40万円かかっている計算です。支援対象者が422名となっていることから、1人あたり14万2000円をかけて履歴書の作成指導やキャリアカウンセリングを行ったものの、半数以上は就職すらできていないことになります

コロナ禍で支援がしづらくなったとはいえ…

 この就労支援事業には目標が設定されており、就職率50%・3か月定着率65%を求めています。支援者数の目標は定められていません(ただし1000人の支援対象者の受け入れができる体制は求められます)。

 この目標が何を基準に設けられているのか、支援者数の目標がなぜ設定されていないのかは、公開されている資料を見る限りわかりません。

 川崎市の生活自立・仕事相談センター「だいJOBセンター概要」によると、就労支援による2020年の就職率は56.1%。2017年は80.6%でした。コロナ禍で支援がしづらくなったものと考えられますが、新常態に合わせたサービスを構築して提供すべきでしょう

 川崎市は就労支援事業の正当性の見直しやレベルアップを図ることなく、業務をパソナなどの外部業者に丸投げしている印象を受けます

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