bizSPA!

JR列車初の防犯カメラが内蔵された新幹線は?否定的な声の中で狙いは

暮らし

N700系には防犯カメラが内蔵されている!?

監視カメラ

 JR東海とJR西日本は、東海道・山陽新幹線を直通で運行させているため、共同で新型新幹線の車両開発に取り組んできた。JR東海は、品川駅開業で新しいビジネス客獲得を、JR西日本は航空機との競争から、それぞれ目的にかなう車両が必要と考えていたのである。その結実が、N700系車両だった。Nはnewやnextの意味を込めたものだというが、特徴のひとつは、加速性能の良さだ

 東海道区間の最高時速270キロメートルならばわずか3分で到達してしまう。ある統計によれば、駅で弁当を買った人も、乗り込んですぐに食べる人はほとんどおらず、発車ベルが鳴って電車が動きだすと弁当を開くのだという。そこから「お弁当を楽しむ前に最高速度へ」というキャッチコピーも生まれている。

 さらにCO2排出量は航空機の10分の1以下であると省エネをうたい、携帯電話の感度や座席の座り心地の向上など、JR2社の期待が詰まった車両であった。2007年7月1日から運行し始めたこのN700系に、まったく新しい発想から取り入れられたものがもうひとつある。それはJRの列車では初の防犯カメラだ。列車走行妨害や車内犯罪の抑止効果をねらったのだという

 16両編成の1列車で58カ所あるすべての乗降口上部と、運転席入り口上部に取り付けられた2カ所の計60台が、運転中のすべてを録画しながら、万が一の列車テロなどに備えて新幹線乗客を守るというわけだ。半面、予防の名目で市民を監視するのはプライバシーや肖像権の問題を含む微妙な面が否定できないという声も上がったが、JR東海では2017年12月に防犯カメラの設置を完了している。

山形新幹線・秋田新幹線は新幹線ではない?

 山形新幹線と秋田新幹線はじつは新幹線ではないといったら、たいていの人は首をひねるかもしれない。東京駅へ行き、20番から23番の新幹線ホームで山形なら「つばさ」、秋田なら「こまち」に乗れば、それぞれ一度も乗り換えなしで東京と山形や秋田を行き来できるのだ。JRの時刻表にも、「山形新幹線」「秋田新幹線」と表記されている。

 だが両新幹線は、本当は在来線で「新幹線」と呼ばれているのはあくまで愛称なのである。そもそも、新幹線と在来線の違いはどこにあるのだろうか。1970年に施行された「全国新幹線鉄道整備法」では、新幹線を「主たる区間を200キロメートル毎時以上で走行できる幹線」と定義している。ところが山形・秋田新幹線の在来線区間での最高速度は、時速130キロメートルと、この定義からはずれている。

 これだけではない。ほかにも新幹線と山形・秋田新幹線を比べてみると、いくつもの違いがある。まずは車両の長さで、東北新幹線のフル規格の車両は25メートルだが、山形・秋田新幹線の車両はそれより5メートルほど短い。両者に「ミニ新幹線」という別の愛称があるのもうなずける

 違いは軌道にもある。新幹線は高速運転をするために、軌道は可能な限り直線で敷かれており、山陽新幹線以降にできた新幹線のカーブは半径4000メートル以上が基本である。しかし、在来線にはその10分の1、半径400メートルというカーブがたくさんある。

最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本

最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本

あらゆる英知を結集させた世界最高傑作の電車のひとつである新幹線。この本では、そんな新幹線にまつわる素朴な疑問を解決いたします!

おすすめ記事