せどりビジネスの商材になることも…偽ブランド品の販売・流通事情に迫る
ヴィトンのバッグが3万円〜。30個以上の卸売りで割引
「ウチのN級品(素人では判別不可能な精巧な最上級コピー品)は、革の生地や金属、糸、ツヤ出しにもこだわっているのでプロでも本物と見分けがつかない。例えば、ルイヴィトンの人気モデル『ネヴァーフルPM』(定価約27万円)なら、一般コピー品が3万円、N級品なら4万5000円。30個以上の卸売りなら割引も可能。
最近、中国の税関が厳しいから一旦、香港に出してからDHLで送る。摘発される可能性はほぼゼロ。日本人との取引実績も豊富だから安心してよ」
ネット上で不自然な日本語が添えられて売り出されているコピー品の多くは、こうして日本に流入しているのだ。
せどりビジネスの「商材」と化していた
一方で、コピー品の流通事情に詳しい宝飾店関係者によると、偽ブランド品の国内流通には多くの日本人も関わっているという。
「ツイッターなどで人を集めている『せどりビジネス勉強会』の実態は、コピー品の販売員募集だったりします。コミッションの支払いを条件に、彼らにSNSやフリマサイトなどで集客させるのです。ネット上だけではありません。例えば腕時計やバッグ類のスーパーコピーは、キャバクラ嬢やホストに『ひとつ売ったら1万円あげる』と持ちかけ、同僚や客に営業させている業者も多くいますよ」
こうした状況のなか、10月から改正商標法及び意匠法が施行される予定で、個人使用であっても海外の事業者から送付される物品が模倣品である場合、没収の対象となる。個人で使うぶんには現在は合法だが、犯罪に加担する行為は慎しむべきだ。
<取材・文・撮影/SPA! 偽ブランド取材班 写真/時事通信社>
【太田基寛】
中国を拠点とするアライジェンス コンサルタンツ代表。過去16年、知的財産保護の調査・コンサルティングや中国市場調査やマーケティングに従事