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2度炎上した「サイゼリヤ貧しい論争」当事者を直撃。「毎日のように脅迫が」

ビジネス

適切な対処方法は「わからない」

熱海

熱海の眺望©takuMatsumoto

――騒動がここまで大きくなってしまった理由について、あっつんさんはどのようにお考えですか?

あっつん:私も居酒屋の経営者という立場ですし、最初のうちは言葉もなるべく慎重に選ぶようにしていました。ただ、丁寧に返せば余計に攻撃的になるユーザーも多く、次第にこちらも口調が荒くなり、喧嘩腰になってしまいました。

 振り返って考えてみると「一言も二言も多かったな」と思う場面はかなりあり、それについては反省しています。ただ、これだけ長期間にわたり、人の悪意にさらされた状態で平常心を保つというのはなかなか難しいものです。

「無視をすれば収まる」ともよく言いますが、好きなだけ叩けるサンドバッグのような状態になったり、「無視をする=自分に非があるから言い返せないのだろう」と考え、攻撃を強めてくるタイプも多いので。半年経った今でも、適切な対処方法はわからないままです。

被害者側に救いがない現状が変わらなければ…

――SNSでの悪質な誹謗中傷が社会問題化している現代。当事者として、どのような思いを抱いていますか?

あっつん:誹謗中傷をする人が100%悪いというのは大前提として。たとえば被害者側が法的措置を取ろうと思い立った場合、とても高いハードルを1つずつクリアしていかなければなりません。弁護士費用もそうですし、証拠集めなどにかなりの労力と時間を奪われます。

 もちろん、損害賠償請求や、警察沙汰になったときに、間違いがあってはならないというのはわかります。それでも、日々浴びせられる暴言・暴力と戦いながら、それらの処理も行わなくてはならないという状況下では、とんでもない精神的・肉体的・経済的負担と苦痛がともないます。

 現在は、制度的な面であまりにも被害者側に救いがない状況だと思わざるを得ません。「攻撃したもん勝ち」という状況が少しでも変わらないと、誹謗中傷の被害に遭う人は今後も減らないと思います。

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 指先ひとつで他人の人生を壊す、悪質な誹謗中傷。自分が、いつ、被害者・加害者の立場になってもおかしくないのが、SNSの恐ろしいところだ。投稿ボタンを押す前に思いとどまる理性と、被害者が泣き寝入りせざるを得ないような制度の見直しが、社会全体に求められる。

<取材・文/堺ありさ>

渋谷の広告代理店で働く27歳。副業ライター。ネットの炎上ネタを観察することが趣味

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