焼肉で網を焦がさず、おいしく食べる焼き方。焦げをトングで削るのはNG
おいしく食べやすい注文の流れを考える
「好きに注文すればいい」もまた真理だが、焼き網のマネジメントやおいしく食べやすい順番を考えるとある程度通底する法則がある。2021年に雑誌『BRUTUS』(8月1日号 No.943)の誌面上で焼肉の焼き方講座を「ナスキロ」(新宿御苑前)の高山いさ己シェフとご一緒させていただいたが、そのときの組み立ては高山シェフと僕ではちょっと違っていた。
【高山シェフの流れ】
タン塩→塩ホルモン(ホルモン、シマチョウ)→タレ赤身→サシ和牛→味噌ホルモン
【筆者の流れ】
タン塩→塩ホルモン(レバー、ハツ)→煮込みとライス→タレカルビ→ハラミ
導入は同じ。2つ目の塩ホルモンは高山さんが腸系、僕がハツとレバーと分かれたが、ここは気分。3番目でライス派かどうかで分岐があった。僕は酒を飲みながらライスを食べる派、高山さんはひたすらお酒という前提で組み立てる。ライスがないから、ひたすら肉だけの味わいを追い求めて、最後に味噌ホルモンをつつきながらゴールイン(その後、次の店へ)。
網をムダに汚さない、後半で味が濃くなるよう
僕は4番目のタレカルビまでライスを残しておいて、カルビごはんで八合目。最後に大好きなハラミで肉の味と食感を満喫してゴールへとたどり着く(おなかいっぱい)。
少し違うようにも見えるが、実は狙いは似ていて「網をムダに汚さない」こと、そして「後半に行くにつれて、味が濃くなるよう」組み立てている。
あとは好み。僕もライスを頼まないパターンはあって、そうなるとタレカルビが落選する。代わりに浮上するのはカイノミ、ギアラ、あれば牛テールなど。酒を飲まないときの組み立てもまた違う。
肉の味と食感、それに味つけで、焼肉の組み立ては無限に広がる。店のコースに丸投げするもよし、苦心惨憺しつつ組み立てるもよし。どちらを選んでも焼肉には楽しみしか待っていない。
<TEXT/ライター・フードアクティビスト 松浦達也>