「日本一バズる公務員」が地元のヒット商品発掘を“よそ者”に任せるワケ
しんじょう君の底力で、寄附額が急成長
先述したように、『ふるさとチョイス』に商品掲載→「しんじょう君がSNSで援護射撃の投稿→PVアップ」という作戦をとっていました。通常、ふるさと納税界隈ではお金を使ってメディアに露出するなどしてアクセス数を増やすのが一般的です。しかし、しんじょう君は当時すでにツイッターだけで3万人のフォロワーがいて、ブログは年間100万PV。毎週末イベントにも出演していて、割と手間をかけずにアクセス数が稼げます。
また、アルゴリズムの解析によると、しんじょう君が発信する情報で数千~数万のPVが稼げ、一時的でもランキング上位に立てることがわかりました。
さらに、須崎市主催のイベント『ご当地キャラまつりIN須崎』のステージ上でも有志のキャラクターさんが「このイベントはふるさと納税の寄附金で運営されてるんだって! 応援よろしくね~」などと、声かけにご協力くださいました。こうしたゆるキャラの求心力に頼ったおかげでPVが圧倒的に伸び、常に『ふるさとチョイス』のランキング上位につけられる状態に成長することができました。
初年度の年末、実際にしんじょう君がどんなツイートをしたのか、紹介しましょう。「みんなー☆ ふるさと納税まだのひとは、今月中にすればことしの寄附になるよー☆ お魚とかいろいろあるから、みていってね☆ね☆(原文ママ)」。決して「寄附してください!」とは頼み込みませんが、寄附額は前年度の35件約200万円から、4万2000件超・約6億円へと急成長する結果となりました。
寄附額が10億円を突破できた原動力
初年度の寄附額が約6億円になったとはいえ、翌年も、やることは同じです。情報収集とマーケティング、トレンド分析みたいなことを繰り返し続けました。講演会に登壇する機会があると「なぜそんなに頑張れるの?」と聞かれることがあります。恐縮ながら「勤勉だ」と言っていただけることも。
しかし、自分自身ではそんなに大それたことをしているつもりはありません。強いて言うなら、はじめての挑戦でも目標に向かって進める力は、完全な自学自習で大学受験合格した経験で養われました。どんなに不可能そうに見える壮大な目標でも、計画を立てて遂行できれば目標に到達できる。その成功体験が非常に大きいです。
実はふるさと納税でも、寄附額が1000万円に到達した時点で「今年、5億いきます」と宣言していました。当然、課のみんなは信じてくれません。「何言ってんの!」、「絶対いくわけないでしょ」と笑っています。
「いや、絶対いくんで、スタッフをもっと雇ってください」
注文が増えれば、発送をはじめ事務作業がパンクするのは時間の問題です。上司に訴えましたが、それでも「何言ってんの!(笑)」とまともにとりあってくれません。「じゃあ、このまま5億円いったらどうしてくれるんですか?」
上司につめ寄ると「係長代わったるわ!(笑)」。結果、私の予想通りの目標に到達しました。寄附額は2年目に10億円、3年目に11億円と成長しましたが、係長の座を譲ってはくれませんでした。「いや~、代わってあげたかったんやけどな~! 残念やな~」。