オイシックスがシダックスの株式を取得。会員に依存しないビジネスが加速か
シダックスが持つ「施設とのパイプ」
オイシックスのようにLTV(Lifetime value。顧客生涯価値)が高いビジネスの場合、多額のマーケティングコストがかかります。その分、プロモーション費用が抑えられるBtoBは魅力的な領域です。
オイシックスは保育園の食材卸事業の売上高を、5年以内に12億円から100億円に拡大する目標を掲げています。シダックスの給食運営事業が契約している保育園・幼稚園は180園。施設を福祉や病院、大学などに広げると1800か所となります。
また、シダックスは自治体施設の運営受託サービスも行っており、学童保育が1430か所、公立小中校の給食が520校、その他の運営施設を含めると2300か所にも及びます。この施設とのパイプこそがオイシックスの狙いです。
株式を取得した後の力が試されるオイシックス
ただし、B種優先株に議決権はなく、普通株で取得したとしても保有比率は26.5%に留まります。グループ会社化したとしても、オイシックスが支配できるわけではありません。ユニゾン・キャピタルはC種優先株を保有していますが、これは社債型。普通株への転換ができません。
つまり、オイシックスは仮にユニゾン・キャピタルからC種優先株を譲受したとしても、議決権比率を高めることはできないのです。シダックスがB種優先株を発行したのは、資金調達と経営改革が目的でしたが、その目的は果たされています。
今回の株式の売買は投資ファンドの出口戦略。シダックスにとって、オイシックスの取得が“いい話”だけではないことは確かです。M&Aを繰り返してきたオイシックスの手腕が問われます。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>