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「ゲーム=悪」なのか。元“ゲーム漬け”だった医師らが語る、誤解と真実

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「ゲーム脳」は正しい医学用語ではない

ゲーム脳

クロストーク「教育×医療×ゲーム」のスライド

竹谷:2ちゃんねるのそういう話、大好きです。昔は「ゲームは子どもがやるもの」という印象がありました。それが成長しても遊び続ける人たちが出てきて、「ゲーム脳」という言葉が話題になった印象です。

阿部:「ゲーム脳」は正しい医学用語ではありません。2002年にゲームによって思考能力が下がる、身体機能のレベルが下がると発表した脳科学者がいました。それをマスコミが取り上げ、話題になったんですね。結局その後の研究で、そのような事実は証明されていません。「ゲーム脳」は疑似科学で、ゲームを悪者扱いしたい人が使う言葉です。

竹谷:私はアクションゲームのやり過ぎで、例えばマンションが建ってると、あそこはああやれば登れるなとか思っちゃうんです。そういうのはゲーム脳ではないんですか?

阿部:それは「発想が豊か」です。

ゲーム依存症と診断される3つの基準

竹谷:安心しました(笑)。ゲーム依存症が騒がれ始めたのは、いつぐらいからでしょうか?

阿部:ここ10年間ぐらいです。英語名はGaming disorderで、2022年1月に発効されたWHOの国際疾病分類(ICD-11)に新しい疾患として追加されています。依存症と診断される基準は3つです。まずゲームをやりたい衝動が抑えられないこと。

 2つ目はゲームの優先順位が生活の中で高すぎること。それこそ寝食を忘れるような状態も含みます。3つ目は会社に遅刻して上司に怒られたり、クビになったりして、まずいことはわかっているのにゲームを止められずにずっとやり続けることです。これらの基準に当てはまる状態が12か月以上続いて、学校や家庭、職場などで重大な問題を引き起こしている場合、ゲーム依存症と診断されます。

中藤:子どもの場合、学校に行くことが仕事の代わりと考えると、不登校でゲームを続けると依存症になるのでしょうか。

阿部:医学的には、社会的な義務を遂行できるかどうかが判断のポイントです。学校に行かなくても、フリースクールに行けて出席扱いとされているのなら、社会生活に支障をきたしていないと考えることもできます。

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