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「ゲーム=悪」なのか。元“ゲーム漬け”だった医師らが語る、誤解と真実

ビジネス

実況動画の視聴も依存症の一種に

クロストーク

クロストークではゲームの様々な側面が語られた ※クロストークのスライドより

竹谷:現代のように当たり前に動画を見られる時代だと、ゲームをやめても、代わりに実況動画を見るようになったりしそうです。

阿部:ゲーム依存症の概念のひとつにインターネット・ゲーム依存症があり、そちらは実況動画の視聴も含みます。医学的には、ゲームしている時間、ゲーム実況を見ている時間、YouTubeを見ている時間、全部含めてInternet Gaming disorderです。

中藤:ずっとYouTubeを見ているお子さんを受け入れられなくて、親子関係が悪くなってしまったという話もよく聞きます。

阿部:依存症の背景に何があるのかに目を向ける必要があるというのが、我々の考え方です。何かストレスを抱えている、もしくは精神的な疾患を持っている、家族や学校に不満があるなど、ゲームに依存する理由があります。子どもと良好なコミュニケーションをとり、その背景を探ることができると良いですね。

ゲーム依存から抜け出す治療法は

竹谷:ではゲーム依存症の診断が下りたとして、どういうフェードアウトの仕方があるのでしょうか。

阿部:治療法はいくつかあります。ひとつのやり方としては、昇華です。例えば別の運動で、好きなもの見つける、別のコミュニティの仲間ができてそちらと遊ぶようになる、将来の夢を持ってそれに向かって頑張るといったように、抜け出すきっかけを作れるものを見つけることです。

 また有効かもしれないとされているのが、認知行動療法です。なにか辛いことがあったらゲームをする、という流れをどうやったら断ち切れるのか、医療者と一緒に考えていく治療法です。最初は「辛いときにゲームをする」という自動的な思考による行動を認識することから始めて、その思考と行動を調整する作戦を立てて、実際に行動を変化させていきます。考え方のクセをなおして、行動に活かしていくんです。

竹谷:家族という一番原始的なコミュニティで精神的に辛くなったときに、阿部さんのように違うコミュニティがあると道が開けますよね。

阿部:家族で解決できるのが一番だとは思います。でも依存症の治療は「第三者に頼る」という基本があります。親子関係が悪化している場合は、なにを言われてもものすごく反発してしまう。ゲーム依存症は疾患なので、家族内だけで解決しようとすると失敗することが多いです。医療従事者や親戚など、頼れる人に頼るべきだと考えます。

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