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上場廃止危機「レオパレス21」が4年ぶり黒字化。なぜV字回復できたのか

ビジネス

施工不良が発覚し、消費者離れが加速

 決算資料によると2018/3から2022/3期までの業績は次の通りです。

【レオパレス21(2018/3~2022/3)】
売上高:5308億円→5052億円→4336億円→4090億円→3984億円
営業利益:229.3億円→73.9億円→▲364.7億円→▲291.8億円→17.7億円
最終利益:148.2億円→▲686.6億円→▲802.2億円→▲236.8億円→118.5億円
自己資本:1590億円→809億円→13億円→▲85億円→11億円

 施工不良が発覚した2018年5月は上記で左から2番目の2019/3期にあたります。2019/3期はイメージダウンによって消費者が離れただけでなく、改修の対象となった物件の入居者募集を停止したため売上高は減少し、営業利益が大幅に減少しました。一方、営業利益に対して大きすぎる最終利益の赤字額を抱えていますが、これは補修工事関連の費用として約548億円の特別損失を計上したためです。

 翌2020/3期は2019/3期よりも入居率が7.6%も減少し、年度平均で80.8%まで落ち込みました。販管費は前期の688億円から619億円に圧縮できたものの、消費者離れによる売上減少分の影響が大きく、営業利益が赤字となりました

 なお前期の段階で補修工事関連費用の大部分を費用計上しているため特別損失は前期の半分以下ですが、215億円の法人税調整額などが影響し、最終赤字は膨らんでいます。

平均入居率も順調に回復

解約

 2021/3期は補修工事を進め、入居者募集を再開しましたが、コロナの影響も重なってしまったようです。レオパレス21では法人企業を主要顧客としていますが、コロナ禍の影響で異動に伴う入居需要が低調となりました。期中の平均入居率はさらに低下し78.9%となっています。たび重なる最終赤字は自己資本を枯渇させ、ついに債務超過に陥りました

 翌2022/3期はコスト削減に努め、原価・販管費を415.5億円削減したことにより、売上高は微減ながらも、営業利益の黒字化に成功しました。期中の平均入居率も81.2%まで回復し、期末時点で85.1%となっています。

 特別損失に関しては改修対象物件を解体するなどにより補修工事関連損失引当金を約120億円戻し入れたほか、前期までの減損損失や退職金、工事関連損失がなくなったことで特別損失の大幅な圧縮(84.2億円⇒2.3億円)に成功し、最終利益がプラスとなりました。

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