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Netflix会員数減少、株価3割急落「サブスク市場」も受難の時代が到来か

ビジネス

北米での成長鈍化で今後に黄色信号

 消費者数の増加分に対して人件費や設備コストを比例的に増やす必要のないオンライン完結型サブスクリプションサービスの特徴といえるでしょう。ちなみに数年前の“サブスクブーム”ではNetflixにあやかろうとさまざまなベンチャー企業やサービスが現れましたが、コストをまかなえられる分の会員数を得られず失敗した企業も多かったようです。

 Netflixは順調に規模を拡大してきたものの、前記の通り最新の決算で有料会員数が減少に転じました。ウクライナ侵攻でロシア事業を停止したため70万人分の契約が減少しましたが、同社の稼ぎ頭である北米も64万人減少、中南米も35万人減少しています。

 2022/12期第1四半期における全体の売上高は78.7億ドルと前年同期比で10%増えてはいるものの、純利益は16.0億ドルと6%減少しました。特に売上高の4割を占める北米(アメリカ・カナダ)での会員数減少は同社が抱える最大市場での成長鈍化を意味しており、今後はこれまで通りの成長が期待できないことを意味します。

受難の時代が到来か

PlayStation Plus

©miglagoa

 Netflixに限らずオンライン完結型のサブスク業界全体も苦戦するでしょう。2022年は旅行やレジャー需要が回復するアフターコロナの段階に入っており、巣ごもり需要に頼るのは無策と言えるでしょう。

 ディズニーが提供するVODサービス「Disney+」も2021年から会員数の伸びが鈍化していたほか、ゲーム関連では「PlayStation Plus」も成長が止まりました。アジア・アフリカ地域では成長の余地があるかもしれませんが、売上高の大部分を占める先進国地域での成長鈍化はサブスク業界にとって足枷(かせ)となります。

 今後は限られた市場の中で競争が激化し、自然淘汰が進むと思われます。なお競争の中では、より研ぎ澄まされた動画・ゲームなどのコンテンツが生まれる可能性が高いため、私たち消費者にとっては良いことかもしれません。

<TEXT/経済ライター 山口伸 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー

Twitter:@shin_yamaguchi_

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