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「どんな物か教えて下さい」という文章が読みにくく感じるワケ

学び

ひらがなにするデメリットも

本を読む男性

 一方で、ひらがなにすることによるデメリットもあります。それは、視認性が悪くなるということです。たとえば、こんな文章があったとします。

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キャッシュレスで素早く簡単にお支払い。
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 これをひらがなにするとこうなります。

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キャッシュレスですばやくかんたんにお支払い。
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「キャッシュレスで」の「で」と「すばやく」の「す」がつながることで、前から順番に読むと「キャッシュレスです」と読めてしまいます。また、「すばやく」はキャッシュレスのメリットなので正確に伝えたいところですが、「ですばやくかんたんにお」というひらがなの文字列に埋もれてしまって、なかなか認識できません。

 読み手は文章を読むのではなく、見ています。文章の勝負は、一瞬で決まります。ひと目見ただけで内容が理解できるものでないと、読み手はそのままスルーして、伝えたい大事なことが伝わらないのです。読み手に文章がどのように見え、どのように理解されるかを考えた上で、前後の関係なども含めて、ひらがな・カタカナ・漢字のどれで表記するのか、ジャッジする必要があるのです。

<TEXT/UXライター、コピーライター 宮崎直人>

株式会社Paidy Senior Marketing/UX copywriter。1982年生まれ。2007年に日経グループの広告会社、日本経済社に新卒入社。営業を経て、コピーライターに。2019年、楽天に入社。2021年より現職。あと払いサービス「ペイディ」のマーケティング施策のコピーライティングや、アプリのUXライティング、ブランドボイスの設計など「言葉による体験のデザイン」をプロダクト開発の現場の最前線で実践している。著書『秒で伝わる文章術』(フォレスト出版)

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