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子供のコロナ感染で「月収が2500円に」アパレル勤務女性を襲った困難

ビジネス

給与補償を受け取れない企業の問題

 第2に、企業に小学校休業等対応助成金を使ってもらえない労働者が国から直接給与補償を受け取れる個人申請制度にも問題があります。まず、大企業で働く労働者はシフト制の労働者以外は使うことができません。また、個人申請を使うためには、企業が「労働者を休業させた」ということを書類上認める必要があります。株式会社CANは、中小企業でありましたが、「労働者を休業させた」ことの承認を企業が拒否したために不支給となりました。

 育児介護休業法改正による給与補償付きの子の看護休暇を法的な権利として確立することや、個人申請制度の支給要件の緩和などといった措置が必要でしょう。

 このように、小学校休業等対応助成金やその個人申請の制度の利用は、企業の協力が必須です。個人で協力を求めても使ってくれない、そんな場合でも労働組合(ユニオン)に加入して協力を求めれば協力してくれるケースがあります。

 筆者が副委員長を務める首都圏青年ユニオンでは、子育てをしながら働く労働者の問題について会社と交渉を行っており、同助成金や個人申請利用への協力を複数の企業で勝ち取っています。

2人の子どもを育てるパート労働者の事例

ユニオン

 株式会社フジオフードシステムのカフェで2人の子どもを育てながら働くパート労働者のBさんは、風邪をひいて保育園に行けなくなってしまった子どもの世話をするために仕事を休みました。小学校休業等対応助成金は、子どもがコロナに感染したり濃厚接触者になったわけではなくても、風邪をひいて感染が疑われる場合には、利用できます。

 Bさんのケースも利用が可能でありましたが、当初会社は同助成金を使っていなかったため、労働組合である飲食店ユニオンに加入して会社に対して助成金利用と給与の補償を求めました。

 すると会社は、Bさんについて休暇中の給与の補償と同助成金の利用を約束し、また同助成金利用を呼び掛ける通知を全社的に流しました。Bさんはその後、子どもの保育園の相次ぐ休園によって仕事を休まざるを得なくなりますが、すべて同助成金を活用した給与補償がされています

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