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テレワークで残業代が出ないのは違法?働く人が知っておくべき「2つの項目」

ビジネス

残業代の支払いを命じられた判例も

法律はあなたの味方 お仕事六法 正社員ver.

『法律はあなたの味方 お仕事六法 正社員ver.』(あさ出版)

 みなし労働時間制の適用が否定された事案が、阪急トラベルサポート事件です(最高裁2014年1月24日)。

 海外旅行の添乗員(いわゆる、ツアーコンダクター)が残業代の支払いを求めた事案で、みなし労働時間制の適用があるかどうか、すなわち「労働時間が算定しがたい」かどうかが問題となりました。

 最高裁は、本件の添乗員の業務について、以下の3点から、会社は添乗員の労働時間を把握することが可能であり、「労働時間が算出しがたい」とはいえないとしました。

1.業務内容がマニュアルなどで、あらかじめ具体的に確定されているため、添乗員の裁量が小さい
2.添乗員が業務遂行中は常時電源を入れているため、会社が携帯電話で指示・命令することが可能である
3.添乗員が提出する日報で、会社は添乗員の仕事状況を知ることが可能

 その結果、みなし労働時間制が適用されないと判断し、会社に残業代の支払いを命じました

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 正社員として働く人の権利は、「労働基準法」「労働契約法」「労働安全衛生法」など、さまざまな法律によって守られています。自分に関係のある法律を知っておくだけで、残業代の未払いやハラスメント、内定取消など、あらゆる労働トラブルから自分を守ることができるのです。

<TEXT/弁護士 横山佳枝>

弁護士(原後綜合法律事務所)。2001年に名古屋大学法学部を卒業し、2004年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。2010年に南カリフォルニア大学ロースクール(LL.M)へ留学し、2014年にニューヨーク州弁護士登録。2018年から東京都労働局紛争調整委員会委員。第二東京弁護士会両性の平等に関する委員会に所属しており、著書に『ハラスメント事件の基本と実務』(共著/日本加除出版)等がある

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