所得格差の拡大…なぜ若者だけ?非正規労働者を取り巻く“厳しい現実”
大手企業はコロナ禍でも賃金上昇
まずは正社員の賃金から見てみましょう。日本経済団体連合会(経団連)が毎年調査している「定期賃金調査結果」から、30歳大卒・高卒総合職の月間賃金を時系列で並べたものを見てみます。
2014年の大卒者が30万8805円、高卒者が27万7169円です。大卒者はコロナ禍でも大きく変化することなく、むしろ上昇傾向にあり2021年は32万1065円でした。高卒者は2020年に残業代が減った影響で27万4562円に落ち込みました。しかし、2021年には28万3536円まで持ち直しています。
この賃金は経団連に加盟する企業から集計したものです。経団連の加盟条件は純資産額が1億円以上ですので、中堅から大手企業の平均的な水準と見て良いでしょう。
正社員への道は厳しいのが現実
しかし、正社員への道は厳しいのが現実です。厚生労働省によると、2021年の有効求人倍率は1.13倍で1倍を超えています。求職者1人に対して1つ以上の求人があることになります。しかし、正社員に絞ると有効求人倍率は0.88倍まで下がります。
世界金融危機後の2009年から有効求人倍率は回復基調にあったものの、正社員有効求人倍率が1倍を超えたのは2018年と2019年だけです。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、再び1倍を超えるのは時間がかかると予想できます。