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赤字転落の阪急交通社が始めた「ワクチン2回接種済の人」限定ツアー。反響と人気プランを聞く

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今のところトラブルは起こっていない

ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート

ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート

 鈴木氏は「県民割引きの影響があると考えられます」と話す。県民割引きとは、その都道府県に住む人が同じ都道府県内に旅行する際に宿泊代の助成や割引が行われる仕組み。緊急事態宣言が解除となって、一部を除いた多くの道府県で実施されている。

 また、「季節柄、紅葉ツアーは人気ですね(取材時。11/23受付終了)」とのこと。2020年は近場ですら行き来できず、我慢を強いられたが、対策をしながらではあるが、徐々に旅行を楽しめるようになったことがうかがえる

 とはいえ、ワクチンの2回接種やPCR・抗原検査の実施を利用条件にするのは、コロナ前では考えられない。その煩雑さゆえの混乱もあるようだが、「条件にそぐわずに、トラブルや参加中止となった事例の報告は特にございません」というきっぱりとした回答が鈴木氏から得られた。2年弱のコロナ禍を経験した日本人が、いわば「コロナリテラシー」を獲得したからではないだろうか。

ウィズコロナ時代、旅行の未来とは

 オミクロン株流行の報道もあり、フツフツと感染拡大の芽は残っているように感じる昨今。ウィズコロナ時代の旅行スタイルはどうなっていくのかについても尋ねた。

「当社はオンラインを活用しながら『たびコト塾』などを通じて、需要の喚起を行っています。これは、今までの旅行で得られた『モノ』の価値より、体験や学びといった事象である『コト』に価値を置いたプランです

 学びが増えることで、行きたい場所や見たいものが増え、実施に訪れた場所がどういった歴史を持っていたのかを知ることができます。もちろんコロナとの兼ね合いを見ながらではありますが、旅マエの情報提供もそうですし、旅アトの体験を大事にしていきたいと思います」

 旅行会社が、旅行だけではなく、旅行に向けた学びや旅行後の振り返りまでの全てを「体験」「学び」となるようにプランニングしているのだ。

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