大手学習塾5社、業績で明暗くっきりのワケ。好調の早稲アカ、不調の明光義塾etc.
2)早稲田アカデミー:早慶附属校への合格実績がダントツ
早稲田アカデミーは社名の通り「早稲田アカデミー」の運営を主事業としており、その他に数校舎規模のブランドを運営しています。
中学受験から大学受験まで対応していますが、高校受験生向けの塾として認識されており、早慶附属校への合格実績は毎年1500人前後と21年連続No.1です。さて、公式HPによると近年の業績(2018/3~21/3期)は以下の通りです。
売上高:221億円→238億円→246億円→255億円
営業利益:11億円→15億円→12億円→11億円
「オンライン校」を開校、好調につながる
2020/3期までの業績をみると生徒数最大の中学部はおおむね横ばいで、高校部は年々減少が続いています。ただし小学部の生徒数は増加しており、開成中学など難関校への合格実績がブランド力につながっているようです。コロナ禍の2021/3期は前年同様3%の増収となりました。
「双方向Web授業」というZoomを通じたオンライン授業を開始したほか、解答用紙をアップロードすると添削してくれるスマホ・タブレットアプリを提供したことで対面授業とオンライン授業の相乗による学習効果を狙いました。
早稲田アカデミーもナガセと同様、必需性の高いビジネスなうえ、個別指導のように密になりにくいことも業績維持につながったと考えられます。最新の2022/3期2Qは「オンライン校」を開講するなど新業態に対応し15%の増収となりました。
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不調組は個別指導塾である点が共通しており、好調組はいずれも集団塾です。集団塾はオンライン授業への対応が早かったことも、生徒離れを防いだポイントなのかもしれません。
また、個別塾は多様な生徒が集まるのに対し、集団塾では各社が難関コースを開設しています。学力の高い層が集まりやすいため難関校実績も作りやすく、それがブランド力につながっているのでしょう。コロナでも受験は避けられないため、業績も平常通りになったと考えられます。
<TEXT/経済ライター 山口伸>