東証一部企業を一代で築いた男が広めた「ビジネス系スピリチュアル」の実態
オカルト、スピリチュアルとは非科学的なもので論理的思考が求められるビジネスの世界とは水と油のように思える。しかし、意外にも会社経営者や起業家にはスピリチュアル愛好家が多い(アップル創業者の故スティーヴ・ジョブズが有名)。
オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家でライターの雨宮純さん(@caffelover)によれば、かつてブームになったオカルトや精神世界は2000年代以降、「自己啓発や癒し、健康といったテーマで、より実用的で実生活に取り入れやすいものとなっていた」という。
今回は一代で東証一部上場企業・船井総研を築き上げた一方で、ビジネス系スピリチュアルを世に広めた人物、舩井幸雄氏について紹介する(以下、雨宮純さん著『あなたを陰謀論者にする言葉』より抜粋のうえ編集、敬称略)。
景気悪化とオウム事件で衰退した精神世界
一時はブームを巻き起こした精神世界ですが、バブル崩壊による景気悪化や(大勢の人が物質文明を超えた何かに思いを馳せるには物質的・経済的な安定が必要です)、オウム真理教が引き起こした一連の事件によって勢いが衰えます。
特にオウム真理教は、ラジニーシ教団(インドの宗教家バグワン・シュリ・ラジニーシが1970年代に創設し、集団移住やバイオテロで知られる大規模コミューン)との類似点や超能力開発、ヨガ修行といった要素を持っていたことから、精神世界やオカルトへの激しい批判を巻き起こしました。
こうして精神世界は怪しいイメージを持つものになり、現在では「精神世界」という言葉もほとんど聞かなくなっています。
2000年代以降に広まった「癒しと自己啓発」のスピリチュアル
ところが2000年代以降、チャネリングや魂の修行、癒し・ヒーリングといった精神世界とほぼ同じものが「スピリチュアル」として社会に広がっていきました。意識変革による社会変革という志向を持つ精神世界や、謎とロマンを楽しむオカルトに対して、スピリチュアルは自己啓発や癒し、健康といったテーマが中心で、より実用的で実生活に取り入れやすいものとなっています。
このうち、スピリチュアルを自己啓発に活用した中心人物が経営コンサルタント会社、船井総合研究所(船井総研)の創業者として知られる舩井幸雄です。