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ラオックス「日本人向けに転換」でも苦境。驚きの一手で親会社を救済へ

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ラオックス「中国で日本商品を販売」で親会社を救済へ?

ラオックス

閉店直前・緊急事態宣言下のラオックス道頓堀店。一等地で目立つ店舗だっただけに、ネット上では「もう閉店するの?」という声も少なくなかった(写真:ナカガワタイガ)

 ラオックスは今年8月に中国・マカオ(澳門)で合弁会社「南粤LAOX」を設立。同社は主に日本から輸入した商品を販売する新業態店舗の展開を計画しており、1号店は中国・マカオの境界近くに設けられる複合施設にメインテナントとして出店する予定で、あわせてEC販売もおこなうとしている。

 中国のECサイトでは現在も家電製品や生活雑貨などを中心に「偽日本製品」「日本風製品」が大量に販売されている。ラオックスは「日本の家電量販店」であることを武器に「本物の日本製品の販売」をおこなうことで、中国国内での顧客獲得をめざすとみられる。

 国内ではアジアン商品を提案しつつ、中国では「日本企業による本物の日本の商品を販売する店舗」を展開することで経営の立て直しをめざすラオックス。14億もの人口を抱える大国の市場は日本よりも遥かに広大だ。

 もしこの経営再建策が軌道に乗った暁には、ラオックスといえば「日本国内の免税店」というよりも「中国全土やアジア諸国で日本の商品を販売する日本企業」というイメージが定着し、ひいては蘇寧グループ本体の経営再建に寄与するほどの存在になりうるかも知れない。

<取材・文・撮影/都市商業研究所 若杉優貴>

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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