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実は「漫才」も発祥!名古屋は身近な場所で、本物の歴史体験ができる

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「本物の伝統文化」が息づく名古屋

 歴史がある都市ゆえに、名古屋や尾張地方から全国へと広まった芸能文化も数多い。

 例えば「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合の花」などのように7・7・7・5のリズムで江戸時代に一世を風靡した流行歌「都々逸(どどいつ)」は名古屋発祥。さらに、現在の吉本芸人に代表されるような「上方漫才」も、もともとはこの地方の伝統芸能である「尾張万歳」が起源である。

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地下鉄伝馬町駅近くにある「都々逸発祥の地」の碑(名古屋市熱田区)

 こうした芸能文化はやがて庶民生活にも深く浸透し、芸能の一大拠点となった名古屋は「芸どころ」と呼ばれるようになった

 名古屋の歴史がかたち作ってきた芸どころ文化は、近代以降も様々なかたちで市民生活に根付いている。例えば、和琴(二絃琴)を改良し、ピアノの様な鍵盤(キー)を付けて弾きやすくした家庭用楽器「大正琴」は名古屋で生まれた楽器だ。

尾張から「全国区」となった芸能も

 さらに、伝統芸能自体も「名古屋おもてなし武将隊」や「ストリート歌舞伎」「ナゴヤカブキ」などといったかたちで、時代の変化に合わせて形態を変えながら現代まで受け継がれており、お祭りやイベント、そして古い町並みが残る都心の商店街など、街なかの身近な場所でも「芸どころ」の片鱗を垣間見ることができる

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街なかにも伝統芸能スポットが。円頓寺商店街にある「ハモニカ荘」では伝統と現代文化が融合した「ナゴヤカブキ」が演じられる。名古屋駅からも近い立地だが商店街周辺には古い町並みが残り、古民家を活用した店も増えている(名古屋市西区)

 歴史文化スポットが市内各地にある名古屋。もし転勤になったならば、名古屋駅や名古屋市役所を訪れる機会もあるだろう。

 その際には、名古屋駅から徒歩10分ほどの距離である商人町・門前町の面影が残る四間道・円頓寺の商店街や、市役所近隣の名古屋城下の面影と近代建築が融合した街並みを散策し、「現在の名古屋の中心」で名古屋の歴史と文化の奥深さを感じてみてはどうだろうか。

<取材・文・撮影/ナカガワタイガ・若杉優貴(都市商業研究所)>

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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