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五輪を技術で支えた日本のスゴい会社たち。利益率驚きの20%超えのところも

ビジネス

 2020年東京オリンピック競技大会では、各国の選手が華々しい活躍を見せました。回を重ねるごとに種目も増え、スポーツファンのすそ野を広げています。スポーツ選手は毎年のように記録を塗り替えていますが、ウェアやシューズなどを提供する会社の企業努力なしには語れません

シマノ

自転車競技に欠かせないパーツを提供している「シマノ」

 日本では、モノづくりに強い国ならではの技術力で、スポーツの世界に貢献している隠れた優良企業があります。

 自転車競技に欠かせないパーツを提供している「シマノ」と、クレー射撃の競技銃の製造販売を行う「ミロク」です。

 この記事では、2社の優れた技術開発力を紹介します。

輸送用機器業界では断トツの営業利益率

 シマノという名前を聞くと、釣り具を思い浮かべる人が多いかもしれません

 日本の2大釣り具メーカーであるシマノとダイワは互いに強力なファンを抱えており、たびたびどちらが優れているかで論争を起こすことで有名です。この2社は釣り具の世界でもシェアトップの座を競っています。

 さて、このシマノは1921年に当時26歳だった島野庄三郎氏が堺市の工場を月5円で借り、旋盤1台で創業した会社です。その翌年に自転車部品のひとつで高い技術力が必要だったフリーホイール(自転車の駆動部品)の生産に着手しました。シマノの祖業は自転車部品の生産販売なのです。

 シマノは輸送用機器業界に分類されます。この業界は世界に名を馳せるトヨタや本田技研工業、川崎重工業、ヤマハ発動機など、一流の会社がひしめいています。実はシマノは強力な競合が顔を並べるこの業界で、営業利益率トップを独走しています

 2020年12月期の営業利益率は驚異の21.9%。ちなみにトヨタは8.1%、ホンダが5.0%です。この業界の平均値は4.3%。ダイワの釣り具を製造販売するグローブライドが7.4%です。シマノがいかに優れた会社かがわかります。

高い営業利益率は“まぐれ”では

シマノの業績推移

シマノの業績推移(単位:百万円)※決算短信より筆者作成

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、公共交通機関を使わなくなったことや、1人でも楽しめる趣味として、自転車の販売台数が伸びました。シマノがその影響を受けたことは確かですが、高い利益率は決して“まぐれ”ではありません。

 過去の業績を振り返っても、コロナ前から20%に近い水準で推移していたことがわかります。高い営業利益率もさることながら、この会社の驚くべきところは2018年12月期から本業での増収増益を続けているところです。2021年12月期は営業利益が1050億円と前年同期比で27.0%増加し、営業利益率は23.1%まで伸びる予想です

 なぜ、これほどまでに好調なのでしょうか? その強さの影には、この会社が顧客と製品に対して真摯に向き合う姿が浮かび上がってきます。

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