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過労死する働き方はなぜ減らない?「ソニー過労死問題」で考える身の守り方

ビジネス

労働法の知識をどう学ぶべきか?

ソニー

SONY © Josefkubes

――海外赴任をしていたソニー社員の男性は、「特別加入制度」を利用していたとのこと。これはどういったものなのでしょうか?

白神:一般的な労災保険は国内で働く従業員が対象となる制度であり、海外で働く従業員は対象となりません。「特別加入制度」とは、海外支店や現地法人でも国内とほぼ同様の補償を労災保険より受けられる制度のことです。任意での利用となり、利用できる対象者も決まっていますが、これから海外に赴任する可能性がある場合は、特別加入制度についてあらかじめ目を通しておいたほうが良いでしょう。

――この記事を読んでいるビジネスパーソンが、最低限知っておくべき労働に関する法律・制度があれば、教えてください。

白神:労働基準法、労働契約法、労働組合法、このあたりが働く皆さんを守る大切な法律です。ただ、これらの法律自体をすべて読むのは大変難しく、骨が折れると思います……。ですから、書店に売られているようなわかりやすい本を買って読んでいただく形で構いません。

 それだけでも基本を理解するには充分です。また、労働組合ではこれらの学習会も開催しているはずです。私も所属している「日本労働弁護団」では、書籍・ホームページ・YouTube動画などの形で、労働の法律に関するわかりやすい情報を配信しているので、そちらで確認していただくのもおすすめです。非常にわかりやすいです。

<取材・文/トヤカン>

【白神優理子】
八王子合同法律事務所。中央大学法科大学院卒。労働・過労死事件・行政事件など多数担当。労働・憲法の講演で全国を回る。著書『弁護士白神優理子が語る日本国憲法は希望』『学校と教師を壊す「働き方改革」』がある
Twitter:@yuriko_shiraga

大学病院の正看護師からフリーライター・イラストレーターの道へ。医療と看護の業界で得た知識と経験をもとに、医療書籍の書評から取材記事、コラムまで幅広く執筆。昨今はLGBT関連の記事執筆・イラスト制作にも携わっている。
Twitter:@toya_kan_dazo

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