ジリ貧の缶コーヒーを救った『鬼滅の刃』。他のコラボ商品も爆売れだが、負の側面も
版権元に5%程度の手数料が支払われるシステム
同じく2020年10月に鬼滅の刃とのコラボ商品を発売した日清食品の業績も堅調です。日清は主力の「チキンラーメン」や「出前一丁」に、鬼滅の刃の「フタどめフィギュア」が当たるキャンペーンを実施。2021年4月-12月の売上高が前期比2.8%増の1549億1700万円となりました。
そのほか、鬼滅の刃とのコラボレーションした主な商品に、以下のようなものがあります。
●ロッテ
・ボトルガム
・ビックリマンチョコ
●おやつカンパニー
・ベビースターラーメン
●レッグス/日本郵政
・フレーム切手
●ユニクロ/ジーユー
・衣服
●ローソン
・グッズ
●くら寿司
・グッズ
企業にとってヒット商品の導火線ともなるコラボ商品ですが、どのような仕組みになっているのでしょうか?
アニメ鬼滅の刃のコラボ商品の問い合わせページは、映画の企画と配給をしたソニー子会社のアニプレックスが運営しています。鬼滅の刃は原作の版元が集英社、アニメーションと映画の企画・配給がアニプレックスと東宝、制作をufotableが行っています。東宝は映画の配給のみとなるので、ライセンスは持っていません。コラボ商品のライセンス料は集英社、アニプレックス、ufotableの3社が受け取ることになります。
通常、アニメーションや漫画のコラボ商品のライセンス料は売上の5%。それをこの3社で分割することになります。鬼滅の刃のライセンス比率は公表されていませんが、5%と仮定して、先ほどのダイドーの例をとって試算してみましょう。
2020年11月-2021年1月の缶コーヒーの売上高は161億9100万円でした。そのうちの70%が鬼滅缶の売上だったと仮定します。鬼滅缶の売上高は113億3400万円となります。ライセンス料5%で5億6700万円。それを3社で分割すると、1億8900万円が入ってくる計算です。日清やローソンなど、数々のヒット商品が生まれたことを考えると、ライセンス料だけでも相当な金額になります。
鬼滅の刃は“窮地に追い込まれた飲食店”も救った
新型コロナウイルスという飲食店の21世紀最大の脅威から、救いの手を差し伸べたのも鬼滅の刃でした。回転ずしチェーン国内2位のくら寿司は、2020年9月に鬼滅の刃とのコラボキャンペーンを展開。期間限定メニューやオリジナル商品を販売しました。これが大成功します。
客数は9月を境に急上昇し、前年比100%に近い水準まで回復。10月は120%に手が届きそうなところまで、大きく伸ばしました。コラボ商品は緊急事態宣言で低迷していた飲食店を救う一手にもなったのです。ちなみに、競合スシローの2020年10月の客数は96.8%。100%を下回っています。いかに鬼滅効果が大きかったのかよくわかります。
くら寿司は緊急事態宣言で一時閉店や時短営業を迫られるという、史上最悪の出来事に見舞われましたが、2020年10月期の売上高は1358億3500万円となり、前期比0.2%減に留めました。3億5000万円の営業利益を出しています。