アイリスオーヤマ、家電が10年で12倍成長。「会議の秘密」を執行役員が語る
口コミから生まれた「なるほど家電」
2013年に発売した「2口IHクッキングヒーター」を皮切りに、大阪R&Dセンター発から「超軽量コードレススティッククリーナー」や「ふとん乾燥機」など次々と人気商品を世に出していく。
「当時はIHを導入する場合、住宅環境によっては電気工事をする必要があったのですが、コンセントに電源プラグを指すだけで、すぐにIHが使えるような商品設計にしたところ、多くのお客様に支持されたんです」
「事前に参入するカテゴリーを決めるというよりも、時代のニーズに合わせた家電を都度、開発し投入しています。生活者のライフスタイルはもとより、価値観や消費志向はその時々で変わります。『あったらいいな』と思う、ユーザーイン発想に立った商品開発を心がけてきた結果として、調理家電や生活家電といったさまざまなカテゴリーを扱うようになりました」
アイリスオーヤマの家電は「なるほど家電」と呼ばれている。実はこれ、会社発のネーミングではなく、お客様の口コミとして広がっていったという。
「振り返ってみると、他社にはない機能だったり、市場にはないアプローチになっていたりしたんです。お客様発の呼称ですが、当社としても『なるほど家電=アイリスオーヤマ』という想起に繋がり、販促の観点でも効果が見込めるということで正式に採用しました」
アイデアの源泉は開発者の日常の中に
とはいえ、そんな誰もが簡単に「なるほど家電」のようなアイデアを生み出せるとは限らない。アイデアの源泉はどこにあるのだろうか!?
「当社はマーケティングからものづくりをするのではなく、開発者自身の実体験をもとに商品のアイデアを考えています。開発者も日常を送る“生活者”であり、普段の生活の中に不満や不便といった“不”がないか、常にアンテナを張っています。自社・他社商品含めて担当カテゴリーの家電を使い倒してもらい、日常の中での不便を体感してもらうことが、『こういうのがあればいいのに』という発想に結びつき、新商品のアイデアになるんです」
特別な何かではなく、アイデアの源泉は日常の中にあるようだ。ただ、日常で不便と感じる瞬間を見つけるのは容易でないように思うが……。
「徹底的に家電を使ってみて、特に解決できそうな“不”が見出せない場合、商品化しないですね。ただ、アンケートやヒアリング調査をもとにした開発ではなく、開発者自身の生活や身の回りにいる同僚や知人など、“実感が湧くかどうか”が大事なわけです」